本研究は、一般病棟で過ごす終末期がん患者の家族が心身のエネルギー充足・維持のために行っている内容についてその実態を明らかにし、さらにその中から補完・代替医療に対するニーズを導き出すことを目的としている。一般病棟で過ごす終末期がん患者の家族7名に対して半構成的面接を実施した。終末期がん患者の平均年齢は、80.3歳、家族の平均年齢は、56.9歳だった。家族の内訳は、長女が5名、配偶者、長男の嫁が各1名であった。終末期がん患者の家族は、自分の体調が悪くなると患者と他の家族員の生活が滞り、迷惑がかかるという思いから、その管理の必要性を強く感じていた。そして実際に、心身エネルギーの充足・維持のために、「日常生活をきちんと送る」「自分の気持ちをコントロールする」「自分の生活パターンを維持する」「仕事を続ける」「趣味を行う」「薬を飲む」「面会時に休息をとる」「家族のサポートを受ける」「友人のサポートを受ける」「近所の人のサポートを受ける」「看護師のサポートを受ける」を行っていた。このうち、実際に取り入れていた補完・代替医療は、「ツボ押し」「マッサージ」「温泉」「アロマセラピー」「栄養・健康食品」の5つであった。終末期がん患者がCAMを取り入れるにあたり影響していた要因には、「必要性を感じる身体状況にない」「経済的な問題」「興味があるが実践に至らない」「取り入れるきっかけがない」「効果に疑問がある」「取り入れる時間がない」「できる環境にない」「継続できない」などであった。以上より、終末期がん患者の家族は、心身のエネルギーの充足・維持のために様々な方法を取り入れているが、補完・代替医療を取り入れるには至らず、今まで実施してきた対処方法を継続・工夫しながら心身のエネルギーの充足・維持をしていることが明らかとなった。今後、これらの結果を関連学会で発表する予定である。
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