夜勤体制のあるグループホームや小規模多機能型介護施設が、これからの認知症高齢者の豊かな終末期を支える役割を担えるのではないかと考え、平成20年〜21年の研究に取り組んだ。 研究1年目の今年は、1.グループホームや小規模多機能型介護施設で研究協力の同意を得た管理職・看護職・介護職に対して「豊かな看取り」経験に関するインタビュー調査。2.既存文献から「豊かな看取り」行為の抽出。3.1と2を併せて、ケア行為の各項目間に現実性があるのか検討するため、研究協力の承諾を得ている施設の施設管理者等に面接調査を行い用語の適切性について検討。 結果は、7施設14人の豊かな看取りを経験した管理職・看護職・介護職からインタビュー調査を行った。男性3名、女性11名、年齢は35歳〜65歳、施設経験年数は2年〜40年であった。看取り人数は1例〜6例。インタビュー時間は平均30分で半構成インタビュー。インタビュー内容は既存文献から抽出した項目なども加えた。また、認知症高齢者が安らかな終末期を過ごしたと職員・家族が評価している事例について、その概要を語っていただいた。施設においての看取りは始まったばかりで、献身的に取り組んだ事例が多かった。さらに、施設としてもかかわった職員としても自分たちの考える「豊かな看取り」を実感しており、家族や地域からの良い評価も受けていた。現在はインタビュー調査したテープ起こし内容を各人に確認中であるため、その後、内容を分析し各施設長との面接調査予定である。 最後に、看取りを行なった各職員や施設の行為が単なる自己満足や、反対に自助努力や犠牲だけでもなく、家族や地域からの良い評価を受けていることから、国が推進している在宅ターミナルに近づき、高齢者本人や家族が看取りの場を病院や大規模施設以外に選べる条件を整備する一歩としても、次年度の継続研究とする。
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