研究2年目の今年は、昨年インタビュー調査を行った内容を分析しアンケート用紙の作成を行った。その後、WAMネットの登録のある大阪(都市)、愛知(中都市)、長崎(地方、僻地を含む)のグループホーム等小規模多機能型居宅介護施設数の地域別比率を無造作抽出した500施設を対象に看取り体験の有無と、体験有りの場合はアンケート調査への協力の有無を往復はがきを用いて行った。その結果、回収数は154施設(30.8%)、その中での看取り体験有りの施設は68施設(44%)、看取り体験なしの施設は86施設(56%)で、看取り体験なしの施設のほうが多かった。 看取り体験ありの68施設全てからアンケート調査への協力可能の回答を得たため、1施設3名の回答として回収可能数204名分のアンケート調査用紙を送付した。その結果、回答施設は52施設(76.5%)、有効回答人数は131名(64.2%)であった。回答人数が少ないのは1施設からの回答人数が1~3名と差があったためである。 次にアンケート調査内容から、勤務者の年代は30歳代が44名(33.6%)で次いで50歳代が37名(28.2%)であった。2000年から10年間での看取った高齢者の人数は、1名の高齢者が51名(38.9%)で、2~3名が34名(26.0%)、4~10名が32名(24.4%)であった。看取り合計の5名以下は99名(75.6%)であった。つまり、10年間での看取りが5名以下の体験しかないという回答者が7割を占めていた。グループホーム等小規模多機能型居住介護施設での看取りについては、多くても2年に1回有るか無いかという状況で、回答者の約3分の1の方は、初めて美利であったということが理解できた。また「豊かな看取り」の構成要素としては、看取りを行うという管理者やスタッフの意識の高まりなどが有意に必要であることが明らかになった。 厚生労働省は2006年に「医療連携体制加算」、2009年度には「看取り加算」をグループホーム等の施設に設定をしたが、未だに看取りを一回も行っていないという施設が、この研究において半数を上回るということに注目すべきである。今後は看取りを行わない・できない施設の実態調査が必要であり、課題であると考えられる。 今回の研究では500施設への往復はがきのアンケート調査の際に看取り体験無しの施設にも、看取りに対する自由記載の意見のみ調査を行い86施設から意見を頂いたが、今後は看取り有りの施設同様に、看取り無しの施設への基礎調査やアンケート調査を行うことが国が推進している在宅ターミナルに近づくためのグループホーム等小規模多機能型居宅介護施設での看取りを考えていく上で必要であると考える。
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