本研究は、がん患者が主体となって早期から効果的な疼痛緩和に取り組んでいけるための看護援助プログラムの考案を目的とする2年間の研究である。平成20年度は、看護援助プログラムの内容を検討するための文献調査、面接調査を実施しつつ、看護援助プログラムの素案に着手している段階である。 国内外における文献調査では、痛みを含めた症状緩和において患者のセルフケア能力を向上させる看護援助プログラムがいくつか開発されていた。しかし、本研究では患者自身の意思力に焦点を当て、その力を引き出すことに主眼を置いているため、さらに文献調査のキーワード範囲を広げ、自己効力感に働きかける援助等の文献検索を行った。文献分析の結果、本研究のめざす独創的看護援助プログラムの枠組みや方法のための基礎資料が得られ、特に、がん患者に対する自己効力感尺度の試案は、患者のセルフコントロールカに関わる看護援助の評価に有効であり、より実践的な看護援助プログラムの考案と精錬に役立つと考えられた。 看護援助プログラムの具体的な内容を検討するためには、痛みのある患者の実情に即した内容検討が必要であり、目標とする対象数に達するまで面接調査を継続実施し、内容分析は次年度と考えている。これまでの面接調査結果からは、がんの痛みを体験している患者が、がん進行への不安を抱えつつも日常生活の自立に価値を置いて痛みの治療法を選択したり、痛みを抱えた生活で家族の負担を考慮し社会資源の活用を積極的に行おうとする心理・社会的状況が明らかになってきている。
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