本研究は、がん患者が主体となって早期から効果的な疼痛緩和に取り組んでいけるための看護援助プログラムの考案を目的とする2年間の研究である。平成21年度は、看護援助プログラムの内容を検討するための昨年からの面接調査を継続し、その内容分析を行い看護援助プログラムの構成内容を検討した。 最終的にペインクリニック外来に通院中の痛みのあるがん患者13名に面接調査を行った。面接調査の結果、対象者の多くは、がんがある限り痛みは治るのではなく楽になると受け止め、痛みを理解し誠実な対応をしてくれるペインクリニック科医を信頼し、治療法の選択から日々の内服方法まで自ら決定することができており、ペインクリニック外来での痛みの治療に満足していた。これには、痛みの原因が理解できており痛みの存在を受け止め治療を納得して受けられることや、ペインクリニック科医との良好な関係により疑問を解消したり自分の意思を伝えることができているためだといえる。また、痛みの治療には満足できていても日常生活には満足できていないとする対象者が半数近くおり、日々変化する痛みが食事や排泄などの基本的な生活に大きく影響を及ぼしていた。しかし、少しでも痛みが緩和できるよう痛みや副作用をセルフモニタリングし、鎮痛薬の使用や日常生活の工夫を行っていた。また、満足はしていないが今の状況が続けばいいとする対象者は、自分が辛くないように期待や希望を高くしないで「あきらめ」て「痛みを受け入れ」て現実と折り合いをつけていた。 以上の結果から、看護援助プログラムには、(1)痛みや痛み治療についての知識の提供、(2)痛みの治療への参加の必要性の理解、(3)セルフモニタリング力の促進、(4)痛みの受け入れの4つの構成要素を含む必要があることが明らかになった。
|