研究課題
口腔癌の頸部リンパ節転移の診断にMR画像を応用し、その診断結果を転移の有無ではなく確率として表記することが可能であるかについて検討を行った。1.頸部郭清を行った口腔癌患者の頸部リンパ節の病理組織所見の評価を行い、術前のMR画像所見と比較した。T2強調画像にて、著明な高信号および等信号は転移リンパ節に特異的な所見であった。それらの所見は転移巣の嚢胞または角化を示唆するものであった。DWIBS画像では、転移リンパ節の壊死巣でさえ特異的な信号を呈しておらず、炎症性リンパ節と転移性リンパ節の鑑別はできないと示唆された。ダイナミックMRIを用いることで、T2強調画像ではリンパ組織と判別できない転移巣の腫瘍細胞を検出することができるであろうとの結果を得た。2.上記1.で得られたT2強調画像におけるリンパ節内部の信号強度、ダイナミックMRIの経時的造影パターンなどのMR画像所見に対するpositive predict value(PPV)の算出を行った。そのPPVを本施設における転移の確率と定義した。今後、転移の確率の正確性を向上させるために、データをさらに集積することが必要である。また、口腔癌頸部リンパ節転移と炎症性リンパ節腫大の鑑別のための診断基準を設け、その診断能について検討を行った。従来から言われているT2強調画像におけるリンパ節内部の著明な高信号の存在所見に加え、等信号の存在所見が有用であるという結果を得た。また、ダイナミックMRIの経時的造影パターンが転移巣の検出に有用であることが示唆された。以上の結果より、転移の確率としてPPVを用いることで、口腔癌の頸部リンパ節転移に対するMR画像を用いた診断結果を定量的に表記することが可能であると示唆された。
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Oral Surgery, Oral Medicine, Oral Pathology, Oral Radiology and Endodontology (in press)