(背景)近年、加工食品の増加や食品の軟食化傾向など食環境の多岐にわたる変化から「噛まない子」が増加し、幼児・児童らの咀嚼力を低下させる原因となっている。研究代表者は先行研究で、幼児の食行動との関連性について検討したところ、幼児の咀嚼力と偏食の程度、友だちと共に遊ぶ積極度の項目に有意な関連が認められ、咀嚼力と食行動および生活行動との関連性を明らかにした。 (目的)子どもの食育を支援するには、良好な口腔内環境の整備が必要不可欠であり、食事をよく噛んで美味しく味わって食べるための健全な咀嚼力の育成が最重要課題である。そこで、子どもの咀嚼力育成を目指して、咀嚼力と生活行動および食環境との関連性について検討した。 (方法)大阪府内の小学生(229名)を対象に、咬合力感圧フィルムデンタルプレスケール^<[○!R]>を用い間接的咀嚼力を、キシリトール100%ガムを咀嚼し溶出する糖量の割合を測定し直接的咀嚼力を評価した。日常の生活・食行動は自記式質問票により評価した。統計解析は、統計ソフト(SPSS verion14.0J)を用い、危険率5%未満を有意とした。 (結果)対象者で食事の期待感が高い者は、学校が楽しいと答えた者および健康意識が高い者が有意に多かった。学年に糖溶出率で有意差が認められた。そこで、6年生(171名)を対象に検討したところ、食事を楽しみにしている群、野菜の摂取頻度が高い群、肥満度で糖溶出率に有意差が認められた。 (結論)咀嚼力の育成には、楽しい食環境を整備し、子どもに野菜の摂取を促すことが重要であると考えられる。さらに、食に対する期待感および関心度の向上が健康意識を高め、学校が楽しいと感じる子どもの育成につながることが推察された。
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