血液中のイソフラボン類(ゲニステイン、ダイゼイン、イコール)と肺がんとの関連をコホート内症例対照研究デザインにより検討することが本研究の目的である。平成20年度は、症例・対照の選択および血漿中イソフラボン類の測定を行った。 症例・対照については、1990年と1993年からすでに開始されているコホート研究(JPHC Study)の対象者である40歳以上70歳未満(調査開始時年齢)の住民約14万人のうち、質問票に回答し血液サンプルが得られた者のなかから選択した。症例は追跡期間中の肺がん罹患例とし、対照は、年齢・居住地・喫煙状況・採血年月日・採血時間・空腹時間を症例にマッチングして選択した。つぎに、選択した症例・対照について研究開始時に採取され凍結保存されている血液サンプルを用い、血漿中イソフラボン濃度の測定を行った。 平成21年度は、測定した血漿中イソフラボン濃度と肺がん罹患との関連を検討する予定である。血漿中イソフラボン濃度と肺がん罹患との関連を報告した前向き研究は世界でもまだ報告されていないため、本研究により肺がんの予防要因についての新たな知見が得られることが期待される。また、JPHC Studyの対象者全体について質問票から推定されるイソフラボン摂取量と肺がんとの関連についても検討する予定である。さらには、質問票からのイソフラボン摂取量と血漿中イソフラボン濃度の比較を行い、イソフラボンの吸収や代謝の影響について考察する。
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