健常被験者32名を対象にMRIの撮像を行い、また、Levenson Self-Report Psychopathy Scale (LSRP)、Psychopathic Personality Inventory-Revised (PPI-R)、Interpersonal Reactivity Index (IRI)の評価尺度を用いて、サイコパス傾向と共感性について測定した。その結果、両側の楔前部、右側の眼窩前頭前皮質、扁桃体に有意に脳体積の減少がみられた。さらに、IRIの下位項目であるEmpathic Concern (EC)と右側の楔前部の体積減少との間に、有意に相関が見られた。これらのことから、サイコパス傾向と上記部位の脳体積との間に関連があることが示され、なかでも楔前部は、共感性と関連があることが示唆された。先行研究からサイコパスの共感性の欠如には、楔前部の機能とされる第3者の視点に立っての視点取得の障害と深いつながりがあることが示唆された。 また、医療観察法触法病棟の患者群を対象に、MRI、DTI、各種質問紙、神経心理検査などを施行した。現在32名のデータが集まっている。これと比較対照するために、健常対照群を対照に同様の検査を実施した。これについても現在26名のデータがあつまっている。今後、症例数を増やし、検討していく予定である。
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