労働者の疲労研究における現在の科学的トピックスは、疲労の回復過程である睡眠・休養研究にある。その中でも、夜勤・交代制勤務者を研究対象とした研究は重要な課題として位置づけられている。夜勤・交代制勤務者は、疲労の回復過程にあたる睡眠や休養の時刻が生理的、心理的、社会的に逆転したパターンとなっているため、常日勤者に比して、疲労の慢性化、ヒューマンエラー、睡眠障害などの問題を抱えている。 本研究の目的は、疲労を慢性化させずに上手く疲労回復している者と、疲労を慢性化させやすい者とでは、労働・生活上にどのような違いが存在しているのかを質問紙調査により解明することであった。2009年1月から2月にかけて、某大学病院に勤務する看護職員を対象に無記名による質問紙調査を実施した。 調査対象は1)看護労働に従事している者、2)夜勤・交代勤務に従事している者、3)調査目的を理解し、調査票に回答して提出する者に該当する者とした。質問項目は、夜勤後の疲労回復度、余暇の過ごし方、生活時間調査、SOC(Sense Of Coherence)スケール、日中の眠気(Epworth Sleepiness Scale)、睡眠時間、労働時間、疲労蓄積度、疲労対処法、バーンアウト(Maslach Burnout Inventory)とした。結果、523名に配布して426名(回収率81.5%)から回答を得た。現在、疲労回復度の高い群と低い群に分類し、生活時間調査の睡眠、余暇活動などの出現パターンを比較・検討中である。
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