研究概要 |
Nd-Fe-B系焼結磁石について, 最大140kOeの強磁場中で低温熱処理を行ない, 強磁場プロセスと保磁力の関係を調べた. その結果以下のことが明らかになった. 1. シリーズIのDy 0%およびDy 10%の系列では, Cuを微量添加した場合にT_a=500℃付近で, CuとAlの両方を添加した試料ではT_a=550℃付近のとき, 磁場中熱処理による保磁力の顕著な上昇が見られる. 2. DSCの測定から, Cu添加の試料では500℃以上でNd-Cu液相が, CuおよびAlを添加した試料ではAl-Cu液相が粒界に存在することを示唆した. 3. 高温での磁気特性の測定から, 磁場中熱処理によって室温で保磁力が向上した試料では(BH)_<max>の値が著しく上昇することを確かめた. 4. シリーズIIの粒径微細化試料においても同様に、T_a=500℃付近で磁場中熱処理による保磁力の顕著な上昇や、DSC曲線における熱異常が観測された. 特に、粒径が5μmの試料では、磁場中保磁力比FCRが52%に達し、これまでの最高値を示すことがわかった.
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