研究概要 |
酢酸イットリウムとホウ酸トリエチルを1, 4-ブタンジオール中300℃で反応させるとYBO_3の赤血球状の結晶が得られる。この反応をヘキシルアミン存在下、塩化イットリウムを原料として行うと、花弁状の結晶が得られ、これは、a, b軸方向に成長した板状結晶が会合して生成したものと結論した。また、アミンの種類がこの反応に及ぼす影響を検討したところ、立体障害の大きいジプロピルアミンなどを用いた場合には、不規則な形態のYBO_3が得られたことから、ヘキシルアミンはab面上に選択的に吸着し、c軸方向の成長を阻害するものと考えられた。また、この反応を少量の酢酸ユーロピウム共存下(Y : Eu=9 : 1)で行うと、YBO_3 : Euの螢光スペクトルにおける593nmのピーク強度に対する612nmのピーク強度が、通常の固相法で合成したものより強く、結晶の形態が蛍光特性に影響を与えることを明らかにした。 金属セリウムのソルボサーマル酸化により得られるセリアコロイドの凝集状態制御についても検討した。硝酸アルカリのような中性の凝集剤を用いると、凝集剤濃度の増加に伴い表面積や細孔容積は減少するものの、細孔の形態は凝集剤濃度により影響を受けなかった。一方、水酸化ナトリウムで凝集させると、濃度の増加とともにマクロ孔容積は増加するが表面積は凝集剤濃度によりあまり影響を受けないことを見出した。細孔構造はほほ同じで、表面積の異なる担体、表面積は同じであるが細孔容積の異なるセリアを担体に用い、ルテニウムを担持して、ベンジルアルコールの液相酸化活性を比較し、触媒活性が担体の表面積だけでなく細孔容積にも影響されることを見出した。
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