研究概要 |
光ファイバ通信における光増幅器は、低コストで小型の平面導波路型光増幅器の要求が高くなってきているが、平面型光導波路を用いた光増幅器は、反転分布状態を実現するために、励起密度の高い光源が必要不可欠である。そこで金属表面近傍に増強電場を形成するという特異な性質を持つ表面プラズモン(surface plasmon, SP)によるEr^<3+>添加Y_2O_3薄膜の励起を試みた。 固相反応法により作製したEr : Y_2O_3多結晶体ペレットをターゲットとし、PLD法により、薄膜を石英基板上に堆積させた。得られた薄膜は、XRD測定により結晶同定、透過率測定により膜厚の見積もり、発光スペクトル測定を行った。また、SP励起のため、薄膜に30nmの銀を蒸着し、全反射減衰(attenuated total refraction, ATR)法に従い、プリズム/中間液/銀/薄膜の配置をθステージ上に固定し、グラントムソン偏光子によりpかs偏光の選択をした970nmのレーザ光の入射角度を変化させ、反射率と、薄膜からの発光測定を行った。 XRD測定より、蒸着薄膜は<111>方向に配向したY_2O_3結晶性薄膜であることが分かった。また、透過率より、膜厚は約300nmと見積もられた。ATR法による反射率測定において、入射光がp偏光の場合のみ、ある角度で反射率が低下した。これは、SPがp偏光の光とのみ共鳴でき、共鳴時に入射光がSPに変換され反射率が低下するという特徴に一致した。蛍光は、SP誘起されるp偏光でのみ、Er^<3+>の1530nm付近の発光が観測され、発光強度が最大の入射角度がSP共鳴角と一致した。よって、銀薄膜近傍に誘起されたSPにより薄膜が励起され1530nmで発光したことが実証された。
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