研究概要 |
1) 光学および磁気特性に興味が持たれる重希土類金属イオン(Eu^<3+>,Tb^<3+>,Gd^<3+>)への大きな親和性を付与するために昨年度合成した化合物について、希土類金属イオン錯体の光物性をさらに詳細に調べ、その光制御ならびに光増幅を追求した。その結果、テトラアザ-14-クラウン-4誘導体(1) のEu^<3+>錯体は,メタノール/水(9/1)溶液中において,Eu^<3+>に基づく特徴的な強い発光を示した。この発光量子収率は可視光の照射前後で2倍に増大し,可視光による希土類発光の制御の可能性を見出した。 2) 新たなホスト化合物であるカリクスアレーン誘導体を金属イオン捕捉中心として用い、スピロベンゾピランとともにカルボキシル基の導入を試み、前年度のクラウン化スピロベンゾピラン系と同様、希土類金属イオン錯形成反応と光物性を調べた。その結果、そのEu^<3+>錯体では,スピロベンゾピラン部位の励起によりEu^<3+>由来の発光が観察された 3) スピロベンゾピラン部位とともにカルボキシル基を有するアザクラウン誘導体との希土類金属イオン錯形成能ならびに物性を比較検討するため、非環状モデル化合物を合成し希土類金属イオンに対する錯形成能を調べた。その結果、顕著な作成性能ならびに希土類発光特性を見出すことはできなかったので、テトラアザ-14-クラウン-4構造が希土類発光特性に重要であることが判明した。
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