研究課題
本研究では、ペロブスカイト型の基本構造を保ったままLaTiO_2 NのO/N比およびTi/La比を変化させることにより、可視光領域での光学バンドギャップおよび反射率の制御を通じてその色調の制御を試みた。また、O/N比やTi/La比などの非化学量論性が光学特性に及ぼす影響を、X線光電子分光法を使用しTiの電子状態の観点から検討した。O/N比が大きくなると基礎吸収端が短波長側にシフトし、試料の色調が変化した。また、Ti/La比が大きくなると基礎吸収端の波長位置はほとんど変化ないものの吸収端より長波長側の拡散反射率が低下し、試料の色の明るさ(鮮やかさ)が変化した。また、O/N比を変化させるとTiの平均原子価が高くなるが、Ti/La比を変化させてもTiの原子価には影響を与えていないことがわかった。窒化温度やメカニカルミリング法により粒子径の異なるLaTiO_2Nを合成しその光学特性を調べたところ、粒子径が小さいほど吸収端以降長波長側の拡散反射率が大きくなる傾向が見られた。朱(赤)色と黄色顔料は基礎吸収端の位置を変化させるだけで合成可能であるが、青色は吸収端の位置だけではその呈色を発現させることはできない。しかしながらLaTiO_2NのO/N比およびTi/La比を変化させ、Laの一部をSrで置換することにより、光学バンドギャップおよびその拡散反射率を制御し、有害な元素を含まない酸窒化物系の赤・黄・青色顔料を合成することに成功した。
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J. Ceram. Soc. Jpn., 117
ページ: 76-81
IOP Conference Series, Mater. Sci. Eng. 1
ページ: 012018(6)