研究課題
(1) Tb改質NdFeB小型焼結磁石および(2) NdFeB系PLD厚膜磁石の2つを採り上げ、主に透過型電子顕微鏡(TEM)を用いたナノ構造解析を行って、機能を効率よく発現させるパノスコピック形態を探索した。得られた成果の概要を以下に示す。(1) Tb改質NdFeB小型焼結磁石 : Tb改質処理を施すと、強磁Nd_2Fe_<14>B粒界を拡散してきたTbが粒界近傍のNd_2Fe_<14>B相と反応してNd-Tb(-Co)を主成分とするアモルファス相が生成し、これが薄く拡がって幅2nm程の極薄アモルファス界面層となって主相周囲を覆ったナノ粒界層構造が形成されることを見出した。このナノ粒界層構造が粒界の滑らかさを改善し、逆磁区発生を抑制して高保磁力化させるものと推論できる。Tb改質処理は、従来のNd_2Fe_<14>B主相に重希土類を多量添加する手法とは異なり、ごく少量の重希土類を粒界部のみに効果的に導入して高保磁力化する手法として期待できる。(2) NdFeB系PLD厚膜磁石 : PLD成膜した厚膜表面にTbを被覆して熱処理を施すと、粒径200nm程度の微細な強磁性Nd_2Fe_<14>B粒の表面部のみが磁気異方性の大きなTb_2Fe_<14>B層に置き換わったカプセル構造が形成され、これが保磁力を大幅に向上させることを見出した。Tb_2Fe_<14>B層は表層部のみに集中し、各Nd_2Fe_<14>B粒を薄く覆った構造となっており、微量のTbを効果的に用いて保磁力を大幅にアップできる理想的なナノ構造である。
すべて 2009 2008
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J. Phys., IOP Conf. Ser. : Mater. Sci. Eng. 1
ページ: 012033_1-6
J. Microscopy (掲載決定)