研究概要 |
1. 4成分相対論を用いた研究 今年度は全てのLnFの基底状態のDirac-Fock-Roothaan(DRR)計算とCAS-CI計算を完了している結果は(Int. J. Quantum Chem. in press)に発表する。 LnFの研究では電子相関を取り入れる事が重要となるが、どのような分子軌道(molecular spinor)が電子相関の記述に適しているかの一般的な研究に迫られた。LaFを取り上げcationのspinor、基底状態のspinor、種々の励起状態のspinorを用い, 励起エネルギー、平衡核間距離、解離エネルギー、振動数等を求め、cationのspinorを使うのが最適との結論に達した(Int. J. Quantum Chem. in inpress)。 個別分子のスペクトルの解析としてはCeFのそれをCASCIと摂動論を使用し行っている(J. Chem. Phys. 2008)。実験と計算の対応はほぼ完全と計って良い。LaF^+とLaFについて同様の結果を去年度得ていた(J. phys. Chem.A 2007)。 ただしこれらの理論計算の難点は遷移確率が計算されておらず、同定に任意性が生ずる場合がある。これを克服すべく平成19年より遷移モーメント(遷移確率)を求めるプログラムの開発に着手をし、今年一通りの完成を見た。GdFの計算結果を公表したが, 実験では同定が不可能な多くのスペクトルの帰属が明らかとなった(J. Chem. phys. 2008)。 2. 2成分相対論を用いた研究 築部グループにより創製された機能分子トライポードとランタニドイオンの相互作用に関する理論研究では、当グループで開発されたモデル内殻ポテンシャルを使用した2成分相対論によるプログラムを使用し、実測データを説明する結果を得ることができた(Chem. Eur. J.(2008)。 また3フッ化ランタニド分子の系統的研究を行ったが、核間距離の定量的計算には動的電子相関を取り入れることが重要であることが示された(Chem. Phys. Lett. 2009)。
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