研究概要 |
表記の課題名の研究を行った。本研究では、担持貴金属触媒に遷移金属酸化物などの第二成分を添加した触媒を調製し、エタノールの改質反応への応用を目的とした。エタノール、特にバイオエタノールは石油などの化石資源に代わる新しい燃料、エネルギー源として、また、カーボンニュートラルであることから地球温暖化防止に役立つとして、その応用が注目されている。本研究では、シリカ(SiO_2)担体に白金(Pt)を担持したものに第二成分としてチタン(Ti),バナジウム(V),クロム(Cr),マンガン(Mn),ジルコニウム(Zr),ニオブ(Nb),モリブデン(Mo)の各酸化物を添加し、反応へ用い、触媒の調製の最適化を検討した。Ptの前駆体として白金ジニトロジアミン(Pt(NO_2)_2(NH_3)_2)水溶液をSiO_2担体に含浸し、乾燥後に第二成分一種類を含浸法で添加した。第二成分として添加した金属塩は次の通りである。チタンイソプロポオキシド、バナジン酸アンモニウム、硝酸クロム、硝酸マンガン、硝酸ジルコニル、シュウ酸ニオビルアンモニウム、モリブデン酸アンモニウム。第二成分を含浸、乾燥後に500℃空気焼成を行い(逐次含浸法)、反応前処理として500℃水素還元を行った。反応溶液はバイオエタノールの水蒸気改質反応を念頭に置き14wt%のエタノール水溶液を用いた。その結果、上記のいずれの酸化物を用いてもエタノールの水蒸気改質活性が著しく増加した。特にNbを添加したNb-Pt/SiO_2触媒は最も高活性を示し、エタノール転化率は同じ温度(200℃)で比較して2.8倍となった。生成物の分布は酸化物を添加していないPt/SiO_2触媒に比べて水素生成が多く、また、工業的に重要な化学物質である一酸化炭素(CO)、アセトアルデヒド(CH_3CHO)の生成もみられた。同じ温度で比較して、Nb-Pt/SiO_2触媒を用いた場合の水素生成速度はPt/SiO_2触媒の2.5倍に達した。このように、添加酸化物の中では、酸化ニオブが最も効果的であることがわかった。また、ニオブの添加割合(Nb/Pt原子数比)を1/8から8倍まで変化させて調製したところ、Nb/Pt原子数比1または2が最適であることがわかった。昇温還元法、吸着量測定などのキャラクタリゼーションの結果、白金とニオブ酸化物が強く相互作用していることがわかった(金属-酸化物の強い相互作用;Strong metal-oxide interaction : SMOI)。この研究成果は、平成21年3月28日、日本化学会第89春季年会(開催地:日本大学理工学部船橋キャンパス、千葉県船橋市習志野台7-24-1)にて発表した。講演番号:2PB-028。
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