研究課題/領域番号 |
20F20024
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
川平 友規 東京工業大学, 理学院, 特定教授 (50377975)
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研究分担者 |
LEE JUNGHUN 東京工業大学, 理学院, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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キーワード | 非アルキメデス的力学系 / 数論的力学系 / 複素力学系 / 構造安定性 |
研究実績の概要 |
本研究課題は,非アルキメデス体上の有理関数が生成する力学系(非アルキメデス的力学系)について,その構造安定性について研究するものである.とくに,非アルキメデス的力学系理論が,複素数体上の有理関数が生成する力学系(複素力学系)の理論のアナロジーとして発展したことを鑑み,複素力学系における構造安定性に関連する議論を可能な限り非アルキメデス的力学系に適応する,という一般的方針のもとで研究を進める.今年度は海外特別研究員と,以下の内容で共同研究を行った: ・2次多項式が生成する複素力学系族において,そのパラメーター空間内で超吸引的周期点をもつ力学系やMisiurewicz点とよばれるパラメーターについては「横断性(transversality)」とよばれる性質が知られ,それが「構造不安定性」を特徴づけている(Gleason-Douady-Hubbard).その証明は付値体の性質を用いた代数的なものであり,EpsteinやSilvermanは独立に3次以上の多項式についても類似の手法を適用し部分的な結果を得ている.これに対し,Puiseaux級数を用いた新しいアプローチを提案し,より一般的な結果を得るための研究を行った. ・上記の問題において,超吸引的周期点をもつ力学系やMisiurewicz点の分布は力学系族の分岐集合を境界に持つマンデルブロー集合の構造を決定する重要な要素である.一方,これらは整数係数方程式の代数方程式の解として特徴づけられるため,その解の分布に代数的整数論のアプローチを適用する研究を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
パンデミックの影響により,オンラインでの研究打ち合わせしかできず,議論の効率が非常に悪かったと感じる.具体例の計算などを共同で集中的に行う機会が欲しかったが,そのような機会をもつことがたいへん難しかった.
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今後の研究の推進方策 |
パンデミックの影響が少なくなり次第,対面で議論する機会を増やし,より集中的に共同研究を行う機会をもちたい.
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