研究課題/領域番号 |
20F20052
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
幾原 雄一 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (70192474)
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研究分担者 |
LIN JINGHUANG 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2020-11-13 – 2022-03-31
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キーワード | 原子分解能電子顕微鏡 / セラミックス / 粒界 / 転位 |
研究実績の概要 |
本研究では最先端の原子分解能電子顕微鏡法を用いて、セラミックス欠陥における局所原子構造を明らかにし、さらに欠陥の物性を評価することで、欠陥機能発現メカニズムの解明を目指す.当該年度は下記の成果が得られた ①セラミックスモデル粒界の構造解析:本年度はバイクリスタル法を用いて、異なる性格を有する酸化アルミニウムとLSATモデル粒界をそれぞれ高温接合にて作製した.一部の試料に関しては電子回折解析を行っており、所望の方位関係を有する粒界が作製できていることを確認した. ②酸化タングステン薄膜の構造解析:パルスレーザー堆積法を用いて作製した酸化タングステン薄膜について、原子分解能電子顕微鏡を用いて構造解析を行った.その結果、薄膜中に1次元のトンネル欠陥構造が観察され、またこのような欠陥の密度は成膜時の酸素分圧、基板の構造と方位に強く依存することが確認された.さらにタングステン原子カラム間の最近接距離を統計した結果、欠陥の密度に依存せず、その距離は一定であることが明らかになった.現在は動径分布関数や1次元欠陥の回転角度などの構造因子に着目して解析を行っており、原子構造と電気特性の相関性について今後検討する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度新型コロナウイルスの影響により来日時間は遅れたが、「研究実績の概要」で記述したいように、セラミックス双結晶の作製や酸化タングステンの原子構造解析は計画通り進めているため、おおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
次年度も引き続き酸化アルミニウム粒界と酸化タングステン薄膜の原子構造解析を行う.酸化アルミニウム粒界については、初年度と異なる性格を有する酸化アルミニウムモデル粒界を高温接合にて作製し、得られた粒界に対してADF,ABF,EDS, EELSなどの先端原子分解能電子顕微鏡法を用いて粒界における原子構造・化学組成・原子状態の解析を行う.酸化タングステン薄膜については、1次元欠陥分布の規則性を探索し、局所的に構造が乱れた1次元規則構造における構造定量評価法の確立を目指す.更に電気特性との相関性を明らかにする予定である.
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