研究実績の概要 |
下水処理の前後におけるウイルスの存在状況を実測するため、日本国内にある下水処理場において、膜分離活性汚泥法(MBR)および活性汚泥法による除去を行っている処理場において、定期的に試料を分与いただいてウイルス濃度を測定した。MBRにおいては、ウイルスの種類にもよるが約4Log程度、通常の活性汚泥法では約2Log程度の除去が見られることを明らかにした。 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)ゲノムは、世界中の排水から検出されている。しかし、バイオセーフティレベル3の厳しい要件のため、排水中のSARS-CoV-2の感染性評価は限定的であった。排水中のインタクトなSARS-CoV-2を選択的に検出するためのキャプシド完全性RT-qPCRの適用性を調査した。SARS-CoV-2の代用として用いたマウス肝炎ウイルス(MHV)に対して、3種類のキャプシド完全性試薬、すなわちエチジウムモノアジド(EMA, 0.1-100 μM) 、プロピジウムモノアジド (PMA, 0.1-100 μM)、シスジクロジアミンプラチナ (CDDP、 0.1-1000 μM)、がどのように作用するかを試験した。CDDPは100μMの濃度で、RT-qPCRによる感染性MHVの選択的検出(CDDP-RT-qPCR)に最も有効な試薬として同定された。
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