研究課題/領域番号 |
20F20111
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
鈴木 克彦 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (80344597)
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研究分担者 |
MA SIHUI 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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キーワード | ケトン食 / ケトン体 / 運動能力 / 脂質代謝 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、低糖質・高脂肪食からなるケトン食でケト適応現象を誘導する上で、さらにケトン体をマウスに経口投与で負荷し、ケト未適応状態およびケト適応状態下外因性ケトン体の持久力・代謝・運動誘発性炎症への影響およびそれらの作用機序を明らかにし、運動能力への効果を検討することである。 本期間では、1)筋細胞にケトン体添加の影響を評価した。その結果、ケトン体の添加により、筋細胞の脂質代謝が亢進した。2)ケト未適応個体に外因性ケトン体を負荷する際の影響を決定するために、C57/BL6マウスを用い、ケトン体投与と非投与群、疲労困憊運動と安静群の4群を設定し、単回ケトン体投与が持久力、運動誘発性炎症への影響を検証した。ケト未適応個体では、ケトン体投与後血中ケトン体濃度が高まる一方で、ケト未適応の原因で利用する能力が低下するため、ケトン体投与後、増加した炎症反応により、持久力が低下した。外因性ケトン体を摂取する際、ケト適応状態が不可欠であることを示されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度の前半はコロナ禍の影響により動物実験の実施は困難であったが、後半は外因性ケトン体を摂取する際、ケト適応状態が不可欠であることを実証した。さらに、ケト適応状態下で、適切な外因性ケトン体を負荷する方法と負荷量を決定するために、C57/BL6マウスを用い、通常食群とケトン食群に分類し、血中ケトン体濃度をモニタリングしている。ケトン食負荷2週時点で、ケトシースが安定的維持することができたところ、外因性ケトン体を飲用水に負荷する際、適当な介入期間を決定したため、計画のサンプリング時期よりやや遅れているが、今後の介入はスムーズに進む予定である。 2021年度に予定してあるの細胞実験も今年度で行った。したがって、大きな遅れは生じおらず、順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後はこれまで残っている解析を継続すると共に、ケト適応状態下で外因性ケトン体負荷による全般的な影響を検討して行く。適切な運動能力評価テストを選定する上で、持久力を評価する。また分析は筋組織におけるタンパク質合成・分解バランス、脂肪組織における脂肪合成・分解バランス、肝臓におけるケトン体合成などの分子メカニズム、および行動テストを中心として進めて行く。また研究全体を通して、その他解析を行う必要が生じた場合は速やかに取り入れる。
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