研究課題/領域番号 |
20F20310
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
足立 幾磨 京都大学, 霊長類研究所, 准教授 (80543214)
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研究分担者 |
GAO JIE 京都大学, 霊長類研究所, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2020-11-13 – 2023-03-31
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キーワード | 身体知覚 / 身体概念 / 全体処理 / 比較認知科学 |
研究実績の概要 |
ヒトを含めた動物にとって、身体は顔と同様に多様な社会的シグナルを出すとともに、実際に接触を伴った他個体と交渉の媒体であるなど、生活において重要な役割を果たしている。しかし顔の知覚様式については、その進化的起源を探求する比較認知科学が精力的におこなわれているにもかかわらず、身体の知覚、認識の進化的起源を探る比較認知科学的アプローチは、極めて少ない。本研究では、ヒトの幼児とチンパンジーを対象とし、かれらの身体知覚・認識を比較分析することを目的とする。 2020年度は、身体部位についてのチンパンジーの概念的理解を分析するため、見本合わせ課題をチンパンジーに訓練した。この課題は、最初に全身像のうちの一部をハイライトし、その後全身像から、合致する身体部位を選択する課題である。2020年度中に訓練した多くの個体がほぼ学習に至った。今後、この課題をもちいて、選択肢となる全身像に、同種、他種、または同様の機能をもつ機械、など様々な刺激をもちいたテスト条件を設定することで、かれらの身体についての概念的知識を分析する。また、2020年度は、視線検出装置のセットアップも進めた。2021年度には、運用可能な見通しである。 加えて、ヒトの幼児を対象とした研究推進に向け、コロナ禍ではあったが、Zoomやe-Mailのオンラインツールを通じて、共同研究者と研究の打ち合わせを進めた。こちらも状況さえ許せば、当初予定どおり2021年度には開始できる見通しとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
チンパンジーを対象とした研究は十分に推進できたが、新型コロナウィルス感染症の影響で、ヒトを対象とした実験が打ち合わせもコロナ禍ではあるがオンラインツールをもちい十分に行うことができ準備が整ったため、(2)おおむね順調、と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、チンパンジーを対象に、2020年度に訓練した見本合わせ課題をもちいた身体についての概念的理解の分析を継続するとともに、視線検出装置をもちいた実験も加えて実施する。また、新型コロナウィルス感染症の状況をみながら、共同研究者と打ち合わせをかさね、可能なタイミングでヒトを対象とした研究も実施する予定である。
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