p型半導体ポリトリチオフェン(pTTh)とn型半導体ヘマタイト(α-Fe2O3)の形態および構造設計を行い、高い光電特性と動作可能性を備えた新型Li-O2電池を作製した。p型半導体への光照射によって生成された光生成電子が酸素還元を促進し、OH-を生成する。放電プロセスにおいて、LiOHは電解液に溶解することにより、酸素カソードによく起こる閉塞現象を解消できる。一方、n型半導体側の光生成正孔は、OH-から酸素への酸化を促進することによって充電電位を大幅に低下させる利点がある。半導体電極の光電特性の評価を通じて、Li-O2電池の充放電電圧と半導体カソードのエネルギーバンド構造との相関関係を明らかにし、ヘマタイトとpTThを光電極およびカソードとして「サンドイッチ構造」を設計した。これで構築した光アシスト水系Li-O2電池の放電電位は3.41Vに達し、充電電位が3.12Vに抑えることができた。そのエネルギー効率が109%と非常に高く、優れたレート性能とサイクル寿命を実現した。 また、可視光をトラップする光電極を設計するため、MoS2/ZnIn2S4ナノシートのヘテロ接合体を作製した。MoS2/ZnIn2S4カソードを用いた光アシストLi-O2電池において、光生成されたキャリアが酸素還元と酸素発生反応を有効に促進し、放電電位が3.18Vと高く、充電電位が3.29Vと低くなることが分かった。その結果、過電圧が0.11Vと極めて小さい値に抑え、光照射の下で電池のエネルギー効率は暗状態での69.2%から96.7%に大幅なアップを達成した。
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