研究課題/領域番号 |
20F20337
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山下 誠 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (10376486)
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研究分担者 |
FENG GENFENG 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2020-11-13 – 2023-03-31
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キーワード | アルミニウム / アニオン / ジシラノール / ジアミン |
研究実績の概要 |
研究実施計画に記載した項目のうち、現在までにかさ高いジシラノールをAl原子上へ導入した環状ハロアルマンの合成を達成、その結晶構造解析により構造を明らかとしている。この環状ハロアルマンは使用したジエチルエーテル溶媒分子もAl原子上に配位しており、還元電位が負に大きくなっていると考えられるが、現在はその還元条件を種々検討している。また、これと並行して単純なジアミンがAl原子上に置換した環状ハロアルマンの合成を行った。アミンの窒素原子上にアリール基が置換した誘導体については環状ハロアルマンの合成を容易に達成することが可能であり、さらにそのNa/Kによる還元により対カチオンにK+を有するAlアニオンを合成可能であることを見いだしている。特筆すべきは、従来合成されてきているAlアニオン誘導体と比較して、このジアミン置換Alアニオンは大量合成が可能であり、グラムスケールで生成物を得ることが容易なことである。これを活かして様々な反応への応用を検討すべきだと考えている。また、窒素原子上にかさ高いアダマンチル基を有する環状ハロアルマンの合成を行い、その還元反応により対応するAlアニオンを得る検討を現在行っている。この誘導体は前述のアリール基が置換したジアミノAlアニオンよりも窒素原子の塩基性が高いため、Al原子のルイス酸性が低下していると予測しており、このルイス酸性の違いが反応性の違いに与える影響を探る予定である。また、従来のAlアニオンの大半はアリール基が対カチオンのK+と相互作用していたが、アルキル置換誘導体が対アニオンのK+と相互作用する様式についても解明する必要があると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画に記載したジシラノール置換Alアニオンの合成へあと一歩のところまで来ており、この項目は順調に進捗していると考えられる。また、これと並列してジアミン置換Alアニオンが大量に合成できることもわかった。こちらについては様々な応用に使用できると考えられるため、予想以上の進捗であると言えるだろう。
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今後の研究の推進方策 |
今後はジシラノール置換のAlアニオンの合成検討を継続すると共に、得られるAlアニオンのAl原子周りの空間を活かした反応を開拓する。具体的にはかさ高い求電子剤とAlの結合を形成する求核反応や、様々な配位子を有する金属錯体の遷移金属中心とAl原子間での新たな結合形成反応、などを想定している。また、新たに得られたジアミノ置換Alアニオンについては大量合成が可能なため、有機合成化学に対して直接応用可能な新規反応の開拓を目指す。
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