研究課題/領域番号 |
20F20363
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
劉 小晰 信州大学, 学術研究院工学系, 教授 (10372509)
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研究分担者 |
ZHANG XICHAO 信州大学, 工学部, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2020-11-13 – 2023-03-31
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キーワード | スピントロニクス / トポロジカルスピンテクスチャ / ナンコリニア磁性 |
研究実績の概要 |
本研究では、ナノスケールのトポロジカルスピンテクスチャに着目し、トポロジカルスピン構造の超低消費電力な駆動手法並びにその室温、ゼロ磁界での安定性、電流、電圧駆動特性を明らかにして、高密度・高速なメモリー、論理素子への応用ための基盤構築である。代表出来なトポロジカルスピンテクスチャは磁気スキルミオンである。 2020年度では、二次元ファンデルワールス強磁性体であるFe3GeTe2に着目し、その中の磁気スキルミオン結晶の観察、マイクロマグネティックスシミュレーションによるその垂直磁気異方性、さらに、2D材料中、スピン軌道相互作用の空間反転対称性が破れている表面では、Dzyaloshinskii-Moriya 相互作用(DMI)によって、磁気スキルミオン結晶を引き起こされることを明らかにした。新しいトポロジカルスピン材料システムへの有意な探索であった。更に、計算機シミュレーションを用いて、DMIを有する軟磁性多層構造内に、“bimeronium”と呼ばれる新しいトポロジカルスピンテクスチャの存在の可能性を明らかにした。この新しい構造は、磁気スキルミオンより低消費電力的に駆動の可能性があることを明らかにした。 更に、2020年度では、磁気スキルミオンを吸引及び反発できるエネルギー障壁構造を提案し、計算機シミュレーションによる吸引、反発の起因を明らかにした。更に、リソグラフィー装置を用いて、基板上に磁性多層膜を形成に、実験で磁気スキルミオンを吸引・反発のエネルギー障壁構造を実証した。このようなエネルギー障壁構造は磁気スキルミオンデバイス構築に極めて重要な構造である。この結果を現在論文投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
前述のように、本研究の目的はナノスケールのトポロジカルスピンテクスチャに着目し、トポロジカルスピン構造の超低消費電力な駆動手法並びにその室温、ゼロ磁界での安定性、電流、電圧駆動特性を明らかにして、高密度・高速なメモリー、論理素子への応用ための基盤構築である。この目的を達成するため、理論及び実験を同時にアプローチを展開している。理論に関して、本年度では、OOMMFと呼ばれるアメリカNIST開発したマイクロマグネティックスシミュレーターを用いて、シミュレーション・解析が順調に行っている。OOMMFはCPUに基づくシミュレーターである。そのため、計算速度はCPUのコアの数に依存している。トポロジカルスピンテクスチャのような数の多く有限要素必要な場合は、計算が数週間かかると速度が遅い。2020年度では、GPU加速したマイクロマグネティックスシミュレーターMuMax3を導入した。MuMax3及び最新のGPUの導入による、計算速度が約100倍以上に短縮できた。そのため、本年度では、シミュレーションに関する新たなトポロジカルスピンテクスチャの発見につながった。現在論文を3本整理投稿中である。 実験的には、DMI大きい多層膜構造の提案など実験も計画通り展開している。
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今後の研究の推進方策 |
今後、これまで開発したトポロジカルスピンテクスチャの特徴を生かし、メモリ、ニューラルコンピューティングなど応用分野に具体出来な提案を行う。特にトポロジカルスピンテクスチャの低消費電力の特性を生かし、IoTなど分野への応用を展開していく。メモリへの応用には、研究室開発したトポロジカル保護構造の特許出願を行うと共に、これらの構造の新たな応用を探る。
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