研究課題/領域番号 |
20F20368
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
閻 紀旺 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (40323042)
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研究分担者 |
ZHANG LIN 慶應義塾大学, 理工学部, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2020-11-13 – 2023-03-31
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キーワード | ガラス成形 / 金型加工 / 超精密切削 / グラフェン成膜 / 微細構造表面 / プレス成形 / 自由曲面 / レンズアレイ |
研究実績の概要 |
光学デバイスなどに用いられているガラス材料はそれ自体で固有の機能を有しているが、その材料表面にマイクロ・ナノレベルの規則的な微細構造を形成することにより、表面機能が飛躍的に向上されることが知られている。本研究では、単結晶ダイヤモンド工具を用いて切削した自由曲面金型表面へグラフェン成膜を行い、ガラスプレス成形技術へ応用し、マイクロ・ナノスケールの微細構造の大面積成形を行う際の界面現象を原子レベルで解明する。本研究により、バイオニック構造やマイクロレンズアレイ、低反射表面など様々な機能性表面の高精度加工およびその低コスト化が期待できる。2021年度では、2020年度で切削加工を行った金型の表面にグラフェン成膜し、平面への成膜特性の調査を行い、成膜可能な条件と成膜したグラフェン膜の厚さや断面構造などの実験的に観察を行った。一部の条件では、グラフェン膜の表面粗さが増大し、粒子化する現象とそのメカニズムを発見した。また、自由曲面金型表面へグラフェン成膜を行い、平面成膜との現象の違いや膜厚の均一性などを実験的に検討した。さらに、製膜した金型を用いて高精度ガラスモールド成形装置でのガラスプレス成形実験を実施し、マイクロ・ナノスケールの微細構造の成形を行う際の界面現象の実験観察を行った。これらの成果は今後の大面積ガラス成形実験へ大きく寄与すると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自由曲面金型表面へグラフェン成膜を行い、平面成膜との現象の違いを解明した。また、製膜した金型を用いてガラスプレス成形実験を実施し、マイクロ・ナノスケールの微細構造の成形を行う際の界面現象の実験観察や成形された光学素子の形状精度の評価を行った。さらに、成形後の離型膜の変化などについても調査した。以上のことから、ほぼ予定通りの成果が得られたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後はより大面積のガラス成形実験を繰り返し行い、金型表面の離型膜の挙動を観察する。また、離型膜とガラスおよび金型本体間の界面現象を分子動力学によって解析する予定である。さらに、本研究で得られた成果を整理し、学会発表や論文投稿を行う予定である。
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