研究課題
宇宙生命科学分野では、次世代シーケンサーを用いた網羅的ゲノミクス解析を含むマルチオミックス解析が導入され、その応用範囲の拡大とより高度なバイオインフォマティクス解析の活用が期待されている。本研究では、受け入れ研究者が代表者として行う宇宙飛行士のリキッドバイオプシー研究、および、火星環境模擬施設等、極限環境でのサンプリング実験をテーマとして、イルミナのショートリードデータの解析とMinIONシーケンサーを活用したロングリード解析手法の開発と検証を行った。宇宙飛行士のリキッドバイオプシー研究のデータ解析により、宇宙滞在中に血漿中のミトコンドリアDNAとRNAが増加することが見出され、NASAのTwins Studyでの結果がより多くの参加者を対象に再現された。さらに、ミトコンドリアDNAを含む血漿分画の濃縮により、血漿中ミトコンドリアの由来組織の予測を行った。この結果、中枢神経系をはじめとした体内の多種の組織でシステミックなミトコンドリア応答が宇宙環境によって引き起こされていることが示された。本研究については、国際会議での2件の口頭発表を行い、論文投稿に至った。土壌サンプルからの微量DNAの精製、およびMinIONシーケンサーによる解析をモデルとして作業手順を確認、必要なバイオインフォマ ティクスツールの検討を行った研究ついては、オンサイトでのシーケンス解析に関するサンプル前処理やデータ解析についての課題について明らかにすることができ、今後の宇宙探査での応用に向けた技術開発の基礎となる結果が得られた。シーケンサーの実際の使用ノウハウが得られたことから、他の解析への発展も期待される。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件) 備考 (2件)
https://osdr.nasa.gov/bio/repo/data/studies/OSD-530
https://osdr.nasa.gov/bio/repo/data/studies/OSD-532