研究課題/領域番号 |
20F20384
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
福井 学 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (60305414)
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研究分担者 |
TSUJI JACKSON 北海道大学, 低温科学研究所, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2020-11-13 – 2023-03-31
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キーワード | 光合成 / 微生物 / 進化 |
研究実績の概要 |
本研究は、未解明である酸素非発生型から酸素発生型光合成への進化の謎の解明に挑戦する。酸素発生型光合成生物は光合成の中心的な機能である光化学系IとIIを有するが、酸素非発生型はそのどちらかを有する。当該外国人特別研究員によって発見された両タイプを有する酸素非発生型光合成微生物Candidatus Chlorohelix allophototropha(クロロフレキサス門)は鉄酸化独立栄養性を有するため、上記進化を解明する上で鍵を握る。本微生物は嫌気性であるものの、未だ単離培養されていない。そこで、上記微生物の単離培養を目指す。さらに、部分循環湖の嫌気水層(春採湖、10mMを越える硫化水素濃度)からも同様の微生物の探索を行い、メタゲノム解析並び培養実験等から系統学的および代謝生理学的多様性を明らかにすることである。今年度は、部分循環湖の嫌気水層(春採湖、10mMを越える硫化水素濃度)からも光化学系IとIIを有する酸素非発生型光合成微生物Candidatus Chlorohelix allophototropha(クロロフレキサス門)の探索を行い、同時に微生物群集構造解析に着手した。2021年2月9日より11日、及び3月9日より10日まで現場調査を行い、湖水試料を採取した。水深3.5m付近に化学躍層が発達し、深水層では高濃度のメタンと硫化水素が検出され、活発な硫酸還元及びメタン生成が行われていることを示した。採取した湖水から酸素非発生型光合成微生物の集積培養が得られたため、その後の単離及びゲノム解析の供する準備を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍で来日が遅れたものの、春採湖の現場調査は2度実施することができた。得られた試料も良質で、今後の解析には問題ない。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度確立された集積培養から新規微生物の単離を試みる。単離に成功した微生物に関してはゲノム解析を行い、光化学系を中心にタンパク質の解析及び機能の解析を行う。同時に、カナダの湖沼から得られた光化学系IとIIを有する酸素非発生型光合成微生物Candidatus Chlorohelix allophototropha(クロロフレキサス門)は単離されていないので、種々の工夫を凝らして単離を試みる。2021年度は、春採湖以外にも、いくつかの湖沼でも調査を行い、Candidatus Chlorohelix allophototropha様微生物の探索を行う。
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