研究課題
植物の重要な耐湿性形質である酸素漏出(radial oxygen loss: ROL)バリアの構成成分やその形成誘導物質は長年不明なままである。これまでROLバリアの構成成分としてスベリンが有力視されてきたが、最近、イネのワックス生合成遺伝子DRP7がROLバリア形成条件で根の外層で発現することや、drp7変異体の根ではROLバリアが形成されないことが明らかになり、ワックスがROLバリアに関与することが示唆された。本研究では、イネdrp7変異体を用いてワックス成分がROLバリアの構成成分として機能するかどうかを明らかにすることを目的とする。令和4年度は、drp7変異体にDRP7遺伝子を導入した個体では、ROLバリア形成が野生型と同様であったことから、根のワックス成分も野生型と同様に回復するかどうかを調べるために、DRP7遺伝子導入系統、野生型「金南風」、およびdrp7変異体の根のエンザイム処理をし、外層組織を単離した。ガスクロマトグラフィー・マススペクトロメトリィーを用いて、それらの試料のワックス成分を分析したところ、drp7変異体では野生型と比べて、根のワックスの特定成分が減少しており、DRP7遺伝子導入系統では野生型のレベルまで回復していることが明らかになった。さらに、野生型「金南風」とdrp7変異体の根の外層をレーザーマイクロダイセクションで単離して、RNAを抽出後、RNA-Seq解析を実施した。しかし、網羅的な遺伝子発現解析からは根のワックスの特定成分の蓄積量の違いを説明できる遺伝子の同定には至らなかった。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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