研究課題/領域番号 |
20F20410
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
岡島 徹也 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (20420383)
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研究分担者 |
LO PEIWEN 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2020-11-13 – 2023-03-31
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キーワード | NOTCH / EOGT / 筋線維 |
研究実績の概要 |
老化は、骨格筋のエネルギー産生の低下や筋肉量の減少を引き起こし、高齢者の運動能力や生活の質に影響を与える。PGC-1αは転写コアクチベーターであり、骨格筋ではミトコンドリア遺伝子の転写を促進することで筋萎縮を抑制し、エネルギー代謝を向上する。骨格筋では、1000以上のO-GlcNAc化タンパク質が同定されており、OGTによるPGC-1αのO-GlcNAc化はPGC-1αを安定化する。一方、骨格筋におけるEOGTによる細胞外O-GlcNAc化の役割は不明である。EOGTはNotch受容体をO-GlcNAc化することで、リガンド依存的なNOTCHシグナルを活性化する。さらに、PGC-1α発現はNotchシグナルにより制御されることが報告されている。本研究では、Notch1のO-GlcNAc修飾によるPGC-1αの発現制御が加齢に伴う筋運動能力の低下のメカニズムに関与する可能性について検証することを目的とした。本年度は、EOGTの発現様式について、特異抗体を用いた前脛骨筋の免疫組織染色を実施した結果、筋組織に一様に分布するのではなく、特定の筋線維に高い発現が認められた。また、筋線維の分布を野生型マウスを比較したところ、顕著な違いは認められなかった一方で、小型の筋線維の増加と中型の筋線維の減少が認められた。また、ロータロッド試験による筋力の測定を実施した結果、野生マウスと比較してEOGT欠損マウスでは、スコアの低下傾向が認められた。引き続き、EOGT欠損マウスにおける筋力を週齢を追って測定する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Eogtの発現様式と筋線維の細胞レベルでの解析より、Eogtの筋線維における役割が改めて示唆される結果が得られるなど、研究計画段階で想定されていたデータが得られている。これらの結果をもとに、今後の研究計画も提案通り進めることができるため、おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の研究から、ロータロッド試験による筋力の測定を実施した結果、野生マウスと比較して、EOGT欠損マウスを用いて、スコアの低下傾向 が認められた。引き続き、EOGT欠損マウスにおける筋力を週齢を追って測定する。また、EOGT特異抗体を用いた前脛骨筋の組織染色により、EOGTのタンパク質発現が、筋組織に一様に分布するのではなく、タイプIIAを含む一部の筋線維に発現していた。Eogt欠損マウスにおける筋線維の分布の変化が、タイプIIAなど特定の筋線維における変化なのか、それとも全体的な変化であるか明らかにするために、筋線維マーカーとLam inin 2αの組織染色により検証する。また、EOGTの機能を細胞レベルにて明らかにするために、EOGT欠損C2C12細胞を作成し、分化させた細胞における遺伝子発現様式の違いを明らかにする。さらに、EOGTの基質候補して、NOTCH受容体に加えて、DLK1の可能性を検証するために、DLK1のO-GlcNAc糖鎖修飾様式と分子機能における役割を明らかにする。
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