国立天文台において、Page氏は主に、重力波検出器における量子雑音低減技術に関する研究を行った。特に、フィルター共振器を用いた周波数依存性スクイーズド真空場の生成実験と、そのKAGRAへの応用に関する研究で多くの貢献を行った。 国立天文台TAMA300のフィルター共振器チームは、数名の研究者で構成されている。Page氏滞在中の主な成果は、フィルター共振器長の安定制御に関するものであり、これによってスクイージング角度の安定度が増し、検出器感度の向上が見込める。具体的には、GreenとIRの二色のレーザーを用いる手法と、Coherent Control Sidebandを用いた方法の2つを実装し、どちらも従来の手法よりもスクイージング角度の揺らぎを低減することに成功した。チームにおけるPage氏の役割は、実際の実験装置の改良、調整、および測定であり、上記の成果を出すために大きな貢献をした。また、Page氏は現状のスクイージングレベルを制限している要因の一つである、Optical Parametric Oscillator(OPO)の光学損失改善にも取り組み、新しいOPOの組み立てと調整を行った。 さらに、TAMA300で開発したフィルター共振器の技術をKAGRAに導入するためのプロジェクトにおいても、Page氏は中心的役割を果たしてきた。特に、実際の大型干渉計にフィルター共振器を導入する際に大きな問題となる散乱光雑音の影響をシミュレーションによって計算し、散乱源の振動量に対する詳細な要求値を計算した。これは、KAGRAフィルター共振器用の防振装置などを設計するための基礎情報として活用されている。
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