令和 4 年度は、新たに確立し、国際誌(Quaternary Geochronology)に論文が掲載されたバライトの ESR 年代測定法を用いて、西南日本の室戸沖沈み込み帯のバライト結晶の年代測定を実施した。バライト鉱物脈は、約700万年前よりも古い層準に発達しているが、その年代は少なくとも200万年よりも若いことが明らかになった。これらの年代は、掘削地域の堆積物が沈み込みと不可を開始した年代と一致するが、数万年程度のごく若い年代も得られており、引き続き検証実験を必要としている。 さらに、微量元素分析とストロンチウム同位体から,流体の起源と生成温度について定量化した。またIODP Exp. 370航海中に得られた X 線 CT 画像の再検討を行い,バライトの化学組成と産状の相関を見いだした。 令和 5 年度の残りの任用期間においては、国際学会における発表とバライト年代測定について,論文化を実施する。また,得られた年代値と起源を組み込んだ「沈み込み帯における高温流体の発生・移動プロセスと地質現象の関係」についてモデル化する。
|