外国人特別研究員の大学就職に伴い,共同研究期間は2020年4月~12月の約8か月間であった。また,この間,コロナ禍の影響で対面でのやりとなどは行いにくい状態が続いた。しかし,メールやzoomなどの手段で連絡を密にとりながら,相互の研究の進捗を確認し,また方向性のすり合わせを行うなど,一定の成果があがった。 共同研究期間(2020年4月~12月)内に,外国人特別研究員側では(1)石川(2012)『ベーシックコーパス言語学』中国語版の刊行準備,(2) 張(to appear)「日本語の「の」と中国語の「的」の比較研究:『中日対訳コーパス』を用いた計量調査」『統計数理研究所共同研究レポート』の2つの業績をあげた(※いずれも公刊は2021年1月以降)。また,受け入れ教員側では,著書3冊,論文2本を含む5本の業績が出た。受け入れ教員側の業績は一義的には当人の個人研究(各種科研研究を含む)の成果であるが,いずれの研究においても,研究の節目で外国人特別研究員との意見交換を行うなど,外国人特別研究員とのディスカッションが成果に間接的に寄与している。 外国人特別研究員の側の実績については,今後,形になって出て来るものも多く,その意味でも,研究の「プラットフォーム」構築を目的とした本共同研究は期待された成果を挙げたと結論してよいだろう。日本語教育と中国語教育およびコーパス言語学という3つの学問分野を相互に連携させるのきわめて有望な取り組みであり,今後さらなる展開が期待できる。なお,外国人特別研究員と受け入れ教員は,本制度の終了後も別の形で共同研究を継続する予定である。
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