研究実績の概要 |
物理学における4次元の超共形場理論(SCFTs)は弦理論やホログラフィック理論において重要な役割を果たす。最近Beem等によって発見された4d/2d双対性は2次元の共形場理論の数学的枠組みであるVOAをSCFTの完全不変量として定め、そのため4次元のSCFTの数学的研究を可能にした。 4次元のSCFTの中でも、N=3,あるいはN=4の超対称性を持つ理論は豊かな構造を持ち、対応するVOAも超対称性を持つとされている。またこれらのVOAの随伴多様体は4次元理論のヒッグ枝は複素鏡映群Gに付随したシンプレクティック多様体W_Gであるとされている。このように、4d/2d双対性によって4次元理論から現れる興味深いVOAが大量に存在するが、これらのVOAについて数学的な理解は殆ど存在しないのが現状である。そこで我々は特に複素鏡映群Gが対称群の場合に、対応するVOAの研究を行った。 具体的には我々は特にGが対称群S_2の場合に注目し、対応するVOA V_GがGorbounov, Malikovand,Schechtmaが導入したP^1上の捻れたカイラルdeRham複体の大域切断に同型になることを示した。さらに、V_Gの自由場表示がこのVOAの層の切断として自然に理解されることを示した。我々は現在この結果を、P^1の代わりにC^2のHilbert 概型を用いることにより, Gを一般の対称群に拡張することを取りかかっている。 我々のこれらの結果により, 4d/2d双対性の数学的理解が大きく進んだと言える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Gが対称群S_2の場合に注目し、対応するVOA V_GがGorbounov, Malikovand,Schechtmaが導入したP^1上の捻れたカイラルdeRham複体の大域切断に同型になることを示, V_Gの自由場表示がこのVOAの層の切断として自然に理解されることを示すことができたため。
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