研究課題/領域番号 |
20F40066
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
三島 伸雄 佐賀大学, 理工学部, 教授 (60281200)
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研究分担者 |
SRINURAK NATTASIT 佐賀大学, 理工学部, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2020-11-13 – 2023-03-31
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キーワード | 防災 / 災害耐性 / シミュレーション / 避難計画 |
研究実績の概要 |
本研究は、都市改造が望ましくない歴史都市において、建物と車両等による同時多発的街路閉塞がもたらす災害時避難の危険性に対するシミュレーション指標「都市災害耐性(City Evacuation Tolerance (CET))」の目標を明らかにすることを目的とする。具体的には、避難所キャパシティやその耐久性、街路密度等をCETとして、特にタイ国チェンマイ市を研究対象としてその世界遺産登録にに向けた防災上の課題と整備目標(指標)を提言することである。 本研究では、先行事例として、佐賀県鹿島市肥前浜宿の重要伝統的建造物群保存地区(以下、重伝建地区)で行われた準防火地域の解除ならびに緩和条例の設置において検討されたことを参考にすることにした。肥前浜宿の取り組みは、当該重伝建地区の特質である茅葺伝統的建造物の修理のために行われており、一方でチェンマイに茅葺建物があるわけではないが、同じ木造密集市街地であること、他にこれだけの緩和条例が策定された事例が他の日本国内の重伝建地区にないことから、最も適切と考えて、比較分析を行った。 これにより、チェンマイ歴史地区の世界遺産選定に向けた危機管理計画において、最も重要な指標であるCETについて検討を行った。また、外国人宿泊客の公共施設への避難、市場施設の火災時避難のシミュレーションをおこなった。 これらの成果については、国際会議で発表してJournal誌に採録された他、避難シミュレーション結果については日本建築学会九州支部および全国大会での発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度は、まだコロナ禍が続いており、本来予定していた先進地視察ができなかった。令和4年度になって国内移動が緩和され、7月に鹿児島に視察に行ったが、10月までの特別研究員期間だったので、参考にするのには少し遅かったと言える。そのため、(3)やや遅れていると判定した。
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今後の研究の推進方策 |
佐賀県鹿島市肥前浜宿の重要伝統的建造物群保存地区における準防火地域解除ならびに建築基準法緩和条例を参考として、特に木造密集市街地における災害耐性に必要となる指標の整理を行う。基本的には、面的な初期消火設備(易操作性消火栓、半径25m)、炎症防止設備(スプリンクラー、外壁や軒裏の材料)、本格消防(防火水槽、ポンプ)、避難計画(二方向避難等)、消防訓練(住民の体制等を含む)などである。これらを基に、タイの基準等とも比較しながら、チェンマイ歴史地区にとって最適な災害耐性を検討し、シミュレーションをおこなってその妥当性等を検証する。 また、タイ・チェンマイ大学からの私費留学生が行っている歴史地区から山岳地帯への眺望景観保護に関する研究についても研究推進に取り組み、防災と景観の両方の観点からみた世界遺産エリアの危機管理計画を検証する。 それらの研究成果を国際会議等で発表する。
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