研究課題
本研究では、独自に開発した膜型表面応力センサ(Membrane-type Surface stress Sensor, MSS)を用いた嗅覚センサの研究開発を行う。特に、農産物や食品の品質など、農業分野において現場で利用可能な嗅覚センサの実現に向けて、必要となる性能を満たすセンサシステムの研究開発を進める。従来のMSSの研究開発では、MSS素子表面に塗布された感応膜に、ニオイ成分が吸着した際に生じる表面応力を検出する「静的モード」と呼ばれる方式で測定を行っていたが、本研究では、MSS素子を共振させることで、ニオイ成分が吸着した際の重量の変化による共振周波数の変化を読み取る「動的モード」と呼ばれる方式での測定を併用することによって、独立に変化するパラメータからより多次元の情報を抽出し、従来の方式を大幅に超える感度や選択性を実現することを目的とする。2022年度は、これまでに構築した測定システムを用いて、MSSと他の共振系センサとの比較検討も行った。また、センサ素子だけでなく、ガスサンプルそのものを振動させることによって、さらに多くの情報を抽出することを試みた。ここでは検知部へのガスの導入時における時系列変化にも着目することで、各ガスサンプルの物理化学的特性に基づく動的挙動をモニタリングした。ガスサンプルとしては、各種農産物から生じるニオイを集中的に測定し、成分毎の配管への吸着挙動なども考慮した上で、測定システム全体の最適化を行った。その結果、農産物サンプルの状態に応じて、僅かに異なるニオイについても、高い精度で識別可能であることが明らかになった。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Sensors and Actuators A: Physical
巻: 350 ページ: 114102~114102
10.1016/j.sna.2022.114102
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