研究課題/領域番号 |
20H00011
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
中川 裕 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (70227750)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 音韻類型論 / 地域類型論 / コイサン / カラハリ |
研究実績の概要 |
2020年度の主要な実績は、(1) 通KBA音素目録資料と通KBA語彙に基づく子音の頻度分布調査を成果の発表、(2) コエ・クワディ語族(とくにカラハリ・コエ諸語)とカー語族の語彙データベースの格段の整備、(3)グイ語とガナ語のテキスト・コーパスの編集の進歩、(4)プロジェクト始動の研究集会開催(online)の4点に要約できる。 (1)については、2020年5月に日本アフリカ学会で国際共著発表を、9月にプロジェクトメンバー10人による国際共著招待講演を行い、また、プロジェクトメンバー全員による国際ジャーナルへの論文投稿を行った(査読結果にもとづき、改訂版の投稿を終えて、現在は2度目の査読中)。(2)については、標本言語の比較的多い二つの語族の主要言語データにおける資料の整備がとくに進んだ。この進歩もあって、(1)の研究成果の公表も可能になってきた。(3)は、研究代表者が担当している2言語のテキスト資料にかかわる進展に関わる。ガナ語資料は過去に記録された物語資料の表記上の整備と、日本語による原翻訳の英訳作業が進んだ。グイ語資料は過去に記録された談話資料のアーカイブ化で、フィールドノートのテキストファイル化と音声ファイル編集とに進歩があり、両者を統合する作業の段階に入った。(4)の研究集会は、本プロジェクトのキックオフ・ミーティングで、当初はベルリンでの8月開催を予定していたが、COVID-19により現実的ではなくなったため、インターネットによる遠隔参加による実現をさぐる協議を、5月から開始した。プロジェクト参加者が処理中の資料を持ち寄り能動的双方向型の共同作業をするオンライン・ワークショップをふくむ準備を進め、最終的には、9月14日から17-18日の期間に4日間にわたる会議を開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19のために現地調査による資料収集が実現しておらず、いくつかの標本言語でデータの追加拡張や事実の確認がペンディングとなっている。そのため、予定していたデータベース編纂の手順の調整に手間取って、進捗に遅れが出ているため。
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今後の研究の推進方策 |
各調査地におけるCOVID-19の感染状況についての情報を慎重に確認し、ボツワナ大学などの現地ホストとの連携をしながら、追加資料収集の新手法を探る。
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