研究課題/領域番号 |
20H00023
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
保谷 徹 東京大学, 史料編纂所, 教授 (60195518)
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研究分担者 |
谷本 晃久 北海道大学, 文学研究院, 教授 (20306525)
水上 たかね 東京大学, 史料編纂所, 助教 (20835483)
岡 美穂子 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 准教授 (30361653)
箱石 大 東京大学, 史料編纂所, 教授 (60251477)
小野 将 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (70272507)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 在外日本関係史料 / 日本史 / 幕末維新史 / ロシア史料 / イタリア史料 / デジタルアーカイヴ / フランス外務省史料 / 北方史料 |
研究実績の概要 |
明治維新150 年を契機に、在外日本関係史料の調査・収集と研究資源化を推進し、幕末維新関係貴重史料コレクションのデジタルアーカイヴ化と史料研究を進め、幕末維新関係史料の基幹的データベース英訳事業の推進・研究用語や史料用語の英訳グロッサリー研究の支援を目的とする。1)在外日本関係史料調査と共同研究では、ロシアⅠ~Ⅲチームとも、コロナ禍により、研究者招聘および出張調査は断念した。代わって、これまで開催した20回分の国際研究集会報告やプロジェクトの関係論文を論文集にとりまとめる準備や、研究素材としてのアイヌ・北方史関係史料のデジタルアーカイヴ化をおこなった。今年度は「入北記 雨」「吹上秘書漂民御覧之記」「松前詰合日記」「孛人ガルトネル地所一件書類 (明治九年二月調)」「おろすけ人言」「元禄御国絵図中松前蝦夷図」を対象とした。南欧班でも海外調査自体は実施できず、代わって、イタリア人による日本・シベリア訪問記の翻訳と研究を進めた。また、横浜開港資料館と連携して、フランス外務省史料マイクロフィルム(未収集分)6万6000コマのデジタル化をおこなった。2)維新関係貴重史料の研究資源化の課題では、史談会本736冊、3万5000コマをデジタル撮影し、ウェブ公開・発信の準備をおこなった。3)「維新史料綱要」データベース英訳事業と英訳グロッサリー作成を支援し(データ項目約1万5000件の英訳を完了)、12月、オンライン国際研究集会「維新史料研究と国際発信」を共催した。そのほか、5月にはロシア連邦サンクトペテルブルク市主催「ニコライ二世東方旅行130年記念国際学術会議」でのオンライン報告、9月には日本資料専門家欧州協会(EAJRS)第31回大会(サンクトペテルブルク開催)でのオンライン報告など、国際発信につとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
在外日本関係史料の調査・研究がひとつの柱となっているため、ロシア・南欧をはじめ、海外出張調査や研究者招聘が出来ない状況は非常に厳しい。現地の共同研究者とのプロジェクト継続を優先させ、オンラインによる国際研究集会の実施や貴重かつ共同研究に必要な史料素材の研究資源化への振り替えをおこなっている。アイヌ・北方史研究史料、あるいは「岡谷文書」「萩廼落葉」「風説萩の枝折」「青山家書類抜萃」「新谷藩雑記」「時勢叢談」「時勢秘録」「時勢雑記」「慶応雑文録」「乙丑雑記」「丙寅雑記」「見聞雑記」「常州事件」などの史談会本、さらにフランス外務省史料の日本関係主要ファイル(19世紀いっぱい)のデジタル公開など、結果として本プロジェクトのみならず、研究者コミュニティーへ新たな研究素材をデジタルアーカイヴとして提供することで本研究遂行の責を果たしていると考えている。在外日本関係史料研究に関しても、まだ大きな遅れはないが、今後の国際情勢次第ではとくにロシア関係には困難が生じるかもしれない。可能な範囲で研究目的を達成しうるよう努力したい。
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今後の研究の推進方策 |
前述のように、在外日本関係史料の調査・研究がひとつの柱となっているため、コロナ禍によってロシア・南欧をはじめ、海外出張調査や研究者招聘が出来ない状況は非常に厳しい。引き続き、現地の共同研究者とのプロジェクト継続を優先させ、オンラインによる国際研究集会の実施や貴重かつ共同研究に必要な史料素材の研究資源化への振り替えをおこなうなどの工夫を行いたい。また、当初予定していた出張・招聘経費などは、貴重史料のデジタルアーカイヴ化に回すなど、研究目的に沿って広く市民・研究者へ新たな史料素材をデジタルアーカイヴで提供できるよう努力したい。ただし、在外史料研究のうち、ロシア史料の調査・研究については、新たな国際情勢の変化によって、研究継続自体に厳しい状況が生まれている。これまで積み上げてきた研究実績をふまえて無理はしたくない。事態が鎮静化した際に学術研究交流を再開できるよう準備していきたい。国際発信は継続する。
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