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2023 年度 実績報告書

東ユーラシア東辺における古代食の多角的視点による解明とその栄養価からみた疾病

研究課題

研究課題/領域番号 20H00033
研究機関東京医療保健大学

研究代表者

三舟 隆之  東京医療保健大学, 医療保健学部, 教授 (20418586)

研究分担者 西念 幸江  東京医療保健大学, 医療保健学部, 教授 (90410208)
金田 一秀  東京医療保健大学, 医療保健学部, 准教授 (30342067)
齋藤 さな恵  東京医療保健大学, 医療保健学部, 准教授 (00389040)
大道 公秀  実践女子大学, 生活科学部, 准教授 (50632444)
鈴木 礼子  日本女子大学, 家政学部, 准教授 (20616239)
峰村 貴央  千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 助教 (30769451)
馬場 基  独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 室長 (70332195)
山崎 健  独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 室長 (50510814)
庄田 慎矢  独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 企画調整部, 室長 (50566940)
小田 裕樹  独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 主任研究員 (70416410)
森川 実  独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 室長 (30393375)
小倉 慈司  国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (20581101)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード古代の食 / 木簡 / 延喜式 / 残存脂質分析 / 動物骨 / 堅魚 / 赤米 / 炊飯実験
研究実績の概要

本年度の研究業績としては、まず2021年度に行った「西大寺食堂院跡シンポジウム」の成果報告集として、『古代寺院の食事を再現する―西大寺では何を食べていたのか』(吉川弘文館 2023年)を刊行することができた。この研究は古代史・考古学のみならず、調理科学や食品学・栄養学などの学際的な研究方法を確立したことで、大きな意義がある。その他の研究実績としては、①前年度から継続していた古代の堅魚製品の再現実験を継続して行った。平城京などから出土する木簡には「荒堅魚」「煮堅魚」「堅魚煎汁」などの製品名が明らかであるが、どのような製品であるかはわからない。また沼津市・富士市や伊豆地方からは堝形土器が多く出土するが、その用途については良くわからないので、改めて分布調査や土器の実験を行った。また再現した堅魚製品の保存性や調理方法なども検証した。それらの成果の中間報告として、2023年3月に東京医療保健大学において、「カツオの古代学」シンポジウムを開催し、中間成果を発表した。
②古代の酒の再現実験については、改めてさまざまな地域の酒造蔵を尋ね、赤米の製法などの聞き取り調査を行い、古代米とされる赤米による古代の酒の再現実験を行った。
③今年度は香川大学において、古代米の品種を栽培していることが判明し、その様子を実見した。そして収穫後少量を分けてもらい、炊飯実験を行い、賞味した。これに関しては今後も継続したい。
④それに伴い、モデル土器を使用して古代の炊飯実験を京都橘大学と共同で行った。この取り組みは今後も継続したい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新型コロナウイルスの感染拡大が収まり、調査や実験が行えるようになったのが大きな理由である。その上でこのような古代食の再現実験が関係方面に知れ渡り、さまざまな共同研究や協力を得られるようになったことも大きな要因である。これは研究機関や研究者のみならず、市民や食品製造業者の関心を引くことにもなり、再現実験では多くの関係業者のアドバイスももらえるようになり、研究方法や実験方法などで大きなプラスとなった。

今後の研究の推進方策

現在継続している古代の堅魚製品の再現実験では、加工・保存法について大分明らかになってきたものの、都までの運搬方法や食品としての調理法などがまだ明らかになっていない。そこで今後もこの研究を継続し、和食の原点である出汁―カツオの調理法を明らかにしていきたい。同時に今年度新たに入手した古代品種の米について、さまざまな研究者から共同研究の提案を受けており、炊飯実験や酒造の再現実験など、新たな試みを展開したい。それと同時に、再現された古代の食と生活習慣病について、栄養カロリーや食塩濃度など、さまざまな観点から、古代の食と疾病の関係を明らかにしていきたい。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] ネズミによるモモ核の食痕形成に関する実験報告2023

    • 著者名/発表者名
      山崎健・鈴木祥菜・三舟隆之・青江誠一郎
    • 雑誌名

      奈良文化財研究所紀要 2023

      巻: 2023 ページ: 32-33

  • [雑誌論文] 『延喜式』巻九・一〇の校訂2023

    • 著者名/発表者名
      小倉慈司
    • 雑誌名

      国立歴史民俗博物館研究報告

      巻: 244 ページ: 43-136

  • [雑誌論文] 写経所案主・上馬養と土器2023

    • 著者名/発表者名
      森川実
    • 雑誌名

      文化財論叢

      巻: Ⅴ ページ: 319-338

  • [雑誌論文] 宝亀三年の「食器漏失」事件について2023

    • 著者名/発表者名
      森川実
    • 雑誌名

      考古学と文化史

      巻: 13 ページ: 305-314

  • [雑誌論文] 東大寺写経所のひらか・堝と春の茹菜2023

    • 著者名/発表者名
      森川実
    • 雑誌名

      古代文化

      巻: 75 ページ: 1-20

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 石神遺跡A期遺構群の出土土器とその年代2023

    • 著者名/発表者名
      森川実
    • 雑誌名

      奈文研論叢

      巻: 4 ページ: 21-51

    • 査読あり
  • [学会発表] 古代律令制祭祀制度の成立と展開2023

    • 著者名/発表者名
      小倉慈司
    • 学会等名
      神道宗教学会
  • [学会発表] 土器分析からの古代人の栄養状態解明に向けた基礎研究―カツオに着目して2023

    • 著者名/発表者名
      大道公秀・橋田規・椎野博・市川順子・西念幸江・三舟隆之
    • 学会等名
      体力・栄養・免疫学会
  • [学会発表] 古代の乳製品「蘇」の復元とその栄養価及び分析2023

    • 著者名/発表者名
      松尾美穂・丸山遥子・保坂千夏・大道公秀
    • 学会等名
      日本食品科学工学会
  • [図書] 古代人の食事と健康2024

    • 著者名/発表者名
      三舟隆之
    • 総ページ数
      207
    • 出版者
      同成社
    • ISBN
      978-4-88621-929-9
  • [図書] 古代寺院の食事を再現する―西大寺では何を食べていたのか2023

    • 著者名/発表者名
      三舟隆之・馬場基
    • 総ページ数
      215
    • 出版者
      吉川弘文館
    • ISBN
      978-4-642-04673-2
  • [図書] 『小右記』と王朝時代2023

    • 著者名/発表者名
      倉本一宏・加藤友康・小倉慈司
    • 総ページ数
      240
    • 出版者
      吉川弘文館
    • ISBN
      9784642046749

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公開日: 2024-12-25  

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