研究課題
今年度は昨年度に引き続き,新型コロナウィルスの影響によって長期出張が不可能であった。このため,予定していた屋久島での「7.3ka鬼界アカホヤ噴火発生年の決定」に向けた埋没木調査,「4.2-4.3kaイベントの精密復元」に向けた若狭三方縄文博物館収蔵スギ埋没木のサンプリングは,次年度に繰り越しとなった。一方で,東京都および千葉県の現生木を多数入手することができた。時代・地域的に重要な新規サンプルの獲得ができ,酸素同位体比標準年輪曲線の時空間的空白が拡充される見通しが立った。分担者の木村勝彦によって,紀元前の長期にわたる酸素同位体比標準年輪曲線が公開され,縄文時代および弥生時代の年代決定が可能となった。代表者の箱﨑,分担者の三宅芙沙,坂本稔によって,過去1万年間の単年輪炭素14データの獲得は着実に進んでおり,次期較正曲線の高精度化へ貢献できる見通しが立った。単年輪炭素14年代測定の研究状況について,日本文化財科学会で発表した結果,第16回ポスター賞を受賞し,文化財科学の分野で高い評価を得た。分担者の三宅は年輪年代学の国際的な賞「Jose A. Boninsegna Frontiers in Dendrochronology Award” (2022)」を受賞した。
2: おおむね順調に進展している
新型コロナウィルスの影響で、調査計画の変更を余儀なくされているが、これまで獲得した試料の分析は順調に進んでおり、先史時代の長期標準年輪曲線の公開など、大きな成果があがり始めている。また、代表者及び分担者の成果が学術界で高く評価され、受賞にも繋がっている。日本が高精度年代研究をリードしていることが、本研究によってあらためて示されている。
ようやく新型コロナウィルスの各種規制が解除され、出張等の制限がなくなってきている。これまで同様に、関連自治体や研究機関と連携しながら、出張調査によって目的達成に必要な試料の採取を目指していきたい。あわせて獲得済み試料の分析を進め、酸素同位体比ならびに炭素14データを蓄積し、高精度年代測定、気候復元、太陽活動復元の成果について、学会発表や論文公表を進めていく。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件)
Radiocarbon
巻: 65 ページ: 505~519
10.1017/rdc.2023.14
巻: - ページ: 1~12
10.1017/RDC.2023.29
考古学ジャーナル
巻: 779 ページ: 15-18
文部科学教育通信
巻: 552 ページ: 2-2
Frontiers in Astronomy and Space Sciences
巻: 9 ページ: -
10.3389/fspas.2022.886140