研究課題/領域番号 |
20H00044
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
篠田 雅人 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (30211957)
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研究分担者 |
尾崎 孝宏 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 教授 (00315392)
立入 郁 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(環境変動予測研究センター), グループリーダー (30336185)
吉原 佑 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (50552379)
鬼木 俊次 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 社会科学領域, 主任研究員 (60289345)
宮坂 隆文 名古屋大学, 環境学研究科, 講師 (80635483)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 遊牧 / モンゴル / エージェントモデル |
研究実績の概要 |
2021年度に、現地調査は当初計画した項目に対して、部分的にしかできなかったが、2022年度には本格的な現地調査を開始した。現地調査を伴わない、データ解析やモデル開発は予定通り進んだ。具体的には、以下の5点についての研究を実施した。 1 聞き取り調査のとりまとめ:牧民による遊動の意思決定過程について、集中調査地域であるBayan Unjuulで2021年度に行った聞き取り調査の結果をとりまとめた。 2 環境場解析:これまでに作成した衛星・地上観測の高時空間分解能データベースを用いて、遊牧様式と環境場の関係性の解析を行った。 3 家畜・植生調査とモデル開発:家畜エージェントモデルにおける意思決定ルールを作成するための、家畜の移動方向・栄養状態変化、草の現存量変化に関する現地調査を開始した。日帰り圏に関して、聞き取り調査から推定される意思決定ルールを考慮し、家畜栄養モデルを搭載したエージェントモデルを作成した。 4 シンポジウムの開催:日本沙漠学会・2022年秋季シンポジウム「遊牧を考える―過去・現在・未来」を開催し、本研究の成果を発表した。 5 2022年度交付繰越分については、2023年度において、?ポスドク研究員を1人雇用し、上記3、4の研究活動にあたらせ、研究成果発表として、4のシンポジウムの発表内容を発展させた論文集を、沙漠研究小特集「遊牧を考える―過去・現在・未来」として出版した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年1月までに事前準備、GPS首輪購入の検討、植生の予備調査、GPS首輪納品を行い、同年3月までに、家畜移動と植生の本調査を行う予定であった。しかし、家畜移動と植生の本調査に用いるGPS首輪について、当初は2023年1月の納品で業者と調整を進めていたが、生産数不足等のメーカーの都合により納期遅延が発生し、年度内の納品及び調査ができなかった。 このような事情により、本研究の根幹をなす、GPSデータを用いた家畜エージェントモデルによるシミュレーションに遅れが生じたことにより、本研究全体においても進捗が遅れることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に実施できなかった、GPS首輪を用いた家畜移動と植生の本調査を2023年度に現地で実施し、2023年度に当初予定していた同様な調査とあわせて集中的に実施する。すなわち、研究の遅れを取り戻すために、調査期間を当初の予定より延長し、現地調査の効率化やサポート体制の強化などにより対応する。 具体的には、家畜エージェントモデルにおける意思決定ルールを作成するための、家畜の移動方向・栄養状態変化、草の現存量変化を調査するが、これを担当する生態班の研究分担者2人に加えて、現地において、海外共同研究者のみならず、日本人若手研究者などの新たな協力を得て、サポート体制を強化する。 この調査は従来の生態調査と比べて、広域的に行うため多くの人手が必要である。さらに、広域植生調査においては、車上からの移動調査の新手法を考案して、効率的な調査を行う。家畜の行動調査についても、家畜に装着するGPSを多数利用し、これを用いて効率的に行う。以上の現地調査の後には、現地会議を開催し、調査や研究の成果とりまとめを集中的に行う。 それ以外の調査項目については、おおむね順調に進んでおり、最終年度である2023年度のとりまとめに向けて、当初の計画通りに進める。
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