研究課題/領域番号 |
20H00045
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
古澤 拓郎 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (50422457)
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研究分担者 |
石田 貴文 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (20184533)
河合 渓 鹿児島大学, 総合科学域総合研究学系, 教授 (60332897)
竹田 晋也 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (90212026)
塚原 高広 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (90328378)
石森 大知 法政大学, 国際文化学部, 准教授 (90594804)
飯田 晶子 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任講師 (90700930)
土谷 ちひろ 東京医科大学, 医学部, 助教 (90806259)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 気候変動 / 人類生態学 / オセアニア / 健康 / 生態環境 |
研究実績の概要 |
いま、海面上昇によってオセアニア諸国に大きな変化が起こる時代において、人々がどう対処していくかという適応策が世界的な課題である。しかし、これまでの適応策立案や実施に当たっては、異なる環境や文化の島に暮らす住民に対して、適応策実施がどのような影響をもたらすかを事前に示すことには限界があった。地元住民や政府にとって、政策ごとに将来を予測できることは喫緊の課題である。そこで、「海面上昇適応策が、地域の環境と社会を変動させ、結果として健康(心の健康を含むwell-being)にどのように影響するか?」を解明することを目的とする。地元政府・地域社会が適応策を選び、将来に備えることに貢献する。 まず研究チームで研究会を開催し、また現地協力者も交えて研究体制を構築した。現地調査で実施する、環境変動・社会変動・健康変動の各分野の研究方法について検討した。 しかし新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により、現地での調査が困難となった。そのためシナリオ策定のために、オセアニアと関連地域における気候変動の影響と適応策について、先行研究や関連情報を網羅的に収集する研究を先に実施した。 気候変動ハザードを「海面上昇」、「エルニーニョ南方振動」、「サイクロン」、「気温上昇」、「海洋酸性化」に分け、物理的影響を「海岸浸食」、「海岸浸水」、「降雨パターン変化」、「生態系劣化」、「強風」、「感染症」に分け、リスクを「沿岸洪水」、「内水氾濫」、「水問題」、「食料問題」、「健康」に分けた。また適応策を「生態学的適応」、「在来技術工学的適応」、「地球規模技術工学的適応」、「折衷技術工学的適応」、「移住など」の分け、さらに細かく適応策を分類することを考案し、さらなる研究を行うこととした。 またIPCCの第六次報告書のレビューに協力した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症の拡大により、当初計画したソロモン諸島における多分野集中調査や、他の島嶼国における広域横断的調査のいずれもが実施できなくなった。しかし、シナリオ策定のための文献調査を集中的に実施したことや、国内で代替データを収集したことにより、遅れを緩和することができた。
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今後の研究の推進方策 |
地域社会に海面上昇と適応策のシナリオを示すために、環境変動・社会変動が人々の健康に及ぼすメカニズムを明らかにするための研究を行う。長期的な計画としては、多彩な環境と社会をもつソロモン諸島国内における集中的・継続的なパネル調査と、他のオセアニア島嶼で広域の事例を集める横断調査とからなる。調査分野は「環境変動」、「社会変動」、「健康変動」、「シナリオ策定」である。今後は、現地調査を推進させる一方、シナリオ策定に必要な情報収集と分析を進める。
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