研究課題/領域番号 |
20H00049
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
田中 樹 摂南大学, 農学部, 教授 (10231408)
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研究分担者 |
荒木 良一 和歌山大学, 教育学部, 准教授 (00530841)
藤本 麻里子 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 助教 (10555105)
寺田 匡宏 総合地球環境学研究所, 研究部, 客員教授 (30399266)
宮嵜 英寿 一般財団法人地球・人間環境フォーラム(研究推進ユニット), 研究推進ユニット, 研究官 (30455232)
山田 協太 筑波大学, 芸術系, 准教授 (40434980)
飯塚 明子 宇都宮大学, 留学生・国際交流センター, 准教授 (60806925)
三村 豊 総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 研究員 (90726043)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 持続的保全型生業システム / 貧困と環境荒廃の連鎖 / 脆弱環境 / 生業複合 / 環インド洋地域圏 |
研究実績の概要 |
東アフリカ(タンザニア島嶼部ザンジバル)、南アジア(スリランカ、インド南部)、東南アジア(インドネシア・スラウェシ島およびベトナム中部)の熱帯脆弱環境での「貧困削減」・「環境荒廃」・「社会的弱者層」に焦点を当て、①在来生業システムの強靭化、②貧困削減と生態系保全を両立する持続的保全型生業システムの形成、③さらには日本国内での類似事例の検索と海外での実証試験の知見の還流および④国内外での社会実践への展開を目的とする。 新型コロナ感染症の世界的な拡大による渡航制限により、2021年度も予定していた海外でのフィールド研究が実施できなかったため、経費の一部を次年度に繰り越しながら、実施可能な取り組みを模索した。 その結果、次の研究実績を得るに至った。(1)リモート会合を通じて海外共同研究者と対象地域の情報収集や地域住民との関係構築を進めた、(2)ザンジバル(ペンバ島)の住民組織(小規模農民や老齢者・女性を主なメンバーとする)とともにスパイス農園を開設した、(3)ベトナム中部山間地域で小家畜飼養を軸とする新たな在地生業の形成を目指す実証試験を進めた、(4)インドネシア・スラウェシ島で再生ソルガムとヤギ飼養を複合した小規模農民向けの生業モデルの実証試験を行った、(5)植物資源(バニラなどの香辛料作物)のDNA解析の分析条件や解析手法の確立と最適化を行った、(6)日本国内の「屋敷林・樹園地システム」の検索および小規模消費者を対象とするスパイスの販路形成の調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症の世界的な拡大による渡航制限が続いたことにより、本研究の中核部分であるタンザニア島嶼部・ザンジバル、スリランカ中南部高原、インドネシア・スラウェシ島、ベトナム中部山間地、さらにインド南部・ガーツ山脈を対象地域とする「生業複合」をめぐるフィールド調査とそれに付随する世帯構成、生計の状況(収入と支出、出稼ぎなど)、家屋や居住形態、土地利用(農耕地、樹林地、荒廃地など)、栽培作物や有用植物、潜在的地域資源(在来知や未利用資源を含む)、地域産品とその流通や市場、自然災害や価格変動のリスク、新規の産品や生業システムへの関心や忌避感などの調査ができなかった。 海外共同研究者と連携して遠隔システムによる取り組みを進めたが、実証試験区の設営まではできても、それが及ばないフィールドでの詳細な調査や作業には限界があった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度(2022年度)に新型コロナ感染症に伴う渡航制限が解除されることを見込んで、海外渡航してのフィールド調査が順調に進むように現地共同研究者らを通じてできる限りの準備を進める。また、すでに地域住民らによる実証試験が進んでいるベトナム中部やザンジバルでは、情報共有を図りながら、人びとのモチベーションの維持に努める。 本研究の後半に実施する予定であった海外での研究知見の日本国内への還流を前倒しで進める。特に、沖縄県久米島および鹿児島県奄美大島での資源・生態環境の保全(赤土流出の抑制、在来有用樹の植栽による生産・保全林の形成)や経済価値の形成(分布北限でのスパイス栽培、アロマ産品の提案)、滋賀県米原市や大阪府枚方市の山村地域での耕作放棄地でのアグロフォレストリーシステムの実証試験などに、熱帯圏の在地生業の知恵や技術を活かす方策を実証的に探る。
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