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2022 年度 実績報告書

「治療的司法」と問題解決型裁判所 ~制度改革のための理論構築と立法提言

研究課題

研究課題/領域番号 20H00052
研究機関静岡大学

研究代表者

正木 祐史  静岡大学, グローバル共創科学部, 教授 (70339597)

研究分担者 相澤 育郎  立正大学, 法学部, 専任講師 (90715393)
赤池 一将  龍谷大学, 法学部, 教授 (30212393)
井上 宜裕  九州大学, 法学研究院, 教授 (70365005)
金澤 真理  大阪公立大学, 大学院法学研究科, 教授 (10302283)
木下 大生  武蔵野大学, 人間科学部, 教授 (20559140)
佐々木 光明  神戸学院大学, 法学部, 教授 (70300225)
高橋 有紀  福島大学, 行政政策学類, 准教授 (00732471)
高平 奇恵  東京経済大学, 現代法学部, 准教授 (30543160)
土井 政和  九州大学, 法学研究院, 特任研究員 (30188841)
中村 悠人  関西学院大学, 司法研究科, 教授 (90706574)
前田 忠弘  甲南大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 特別研究員 (60157138)
丸山 泰弘  立正大学, 法学部, 教授 (60586189)
水藤 昌彦  山口県立大学, 社会福祉学部, 教授 (40610407)
森久 智江  立命館大学, 法学部, 教授 (40507969)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード治療的司法・法学 / 問題解決型裁判所 / 犯罪行為者処遇 / 刑事司法 / 社会福祉
研究実績の概要

研究代表者・正木の統括の下、以下のような実績をあげた。
<理論研究>例会において、赤池「社会内処遇の将来に関するフーコーの視点」と題する報告を得て、監獄・矯正・刑罰に係るフーコーの視点から、社会内処遇に対する視座を得ようとする試みについて、また、石田侑矢(研究協力者)「Alternative Justice と問題解決型裁判所」と題する報告により、米国において修復的司法に係る裁判所が存在しない理由を明らかにするための検討を通して、治療的法学、コミュニティ・ジャスティスおよび修復的司法それぞれの相互関係と、それらと問題解決型裁判所との関係を整理する試みに接し、その理論的帰結について検討した(相澤、井上、中村、前田、丸山、水藤、森久、土井、正木)。
<比較法研究>上述の赤池報告はフランス、石田報告が米国の比較法研究の側面を有しているとともに、高橋「イギリス調査の報告」を受けて、英国Sheffieldでの実地調査により、英国における保護観察官養成、更生保護施設や薬物依存症通所施設の実態を共有するとともに、今後の展望について検討した。その他、雑誌論文や学会発表として、フランス(相澤・井上)、豪州(水藤・森久)、イギリス(高橋)、ドイツ(中村)を対象とした比較法研究の成果がある。
<実態調査>前年度に引き続き再犯防止モデル事業の概要調査について継続して分析し(高平・佐々木など)、それを踏まえて追加調査計画を策定したうえで(水藤・森久)、今年度内では福岡県および福岡県地域生活定着支援センター(高平・正木)、更生保護法人西本願寺白光荘(赤池、水藤)、牛久市キズキ(相澤・水藤)への聞取り調査を実施した。また、大阪府地域生活定着支援センターに対し、出口支援・入口支援の実情についての聞取りを例会にて実施した(木下・土井・高橋・高平・相澤・水藤・正木・佐々木・森久・丸山・金澤)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

上記「研究実績概要」に記したとおり、理論的研究については、制度の基盤を支える又はその前提となる純理論的な検討を縷々加えていくことができたほか、比較法研究についても、上記理論的検討の中で米国およびフランスの思想・制度について検討を深めたほか、英国についても実地調査の結果としての制度と実態について検討を加えたところである。また、実態調査についても、再犯防止モデル事業の概要調査を継続して行うことにより、追加調査の必要性を検討してそのいくつかについては実施している。
他方、理論研究・比較法研究としては、従前の制度と問題解決型裁判所制度との比較や、福祉との接続についてなど、さらに検討を深めるべき論点がある。また、問題解決型裁判所の実務運用の現状と課題に係る海外調査が、当方科研費研究代表者・分担者と米国または豪州の先方機関との日程調整がつかずに実施できないままにきている。

今後の研究の推進方策

研究代表者・正木の統括の下、研究の進捗状況にやや遅れがみられることからそれを取り戻すべく、研究をさらに推し進めることとする。
具体的には、国内実態調査についてはおおむね必要な調査ができてきたことから、それを取りまとめる作業に入る。国外実態調査については、対象を米国または豪州に限定し、問題解決型裁判所制度の理論・運用についての現地調査を実現していく。また、適宜に比較法研究を実施していくことをも踏まえ、理論的研究としては、従前の制度と問題解決型裁判所制度との比較や、福祉との接続についての理論課題に応えるための検討を加えていく。最終的には、これら検討結果を成果公表できる形にまとめていく。
これらを進めるため、2か月に1回前後まで上げてきた例会(研究会)の開催頻度を維持するとともに、日本刑法学会、日本司法福祉学会、日本犯罪社会学会や更生保護学会等での機会を生かして、検討と成果公表に向けた活動を進めていく。

  • 研究成果

    (20件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (11件) (うちオープンアクセス 5件、 査読あり 2件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 問題解決型裁判所が解決すべき「問題」とは何か2023

    • 著者名/発表者名
      丸山泰弘
    • 雑誌名

      龍谷法学

      巻: 55(4) ページ: 135-164

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 表出的刑罰論についての覚書2023

    • 著者名/発表者名
      中村悠人
    • 雑誌名

      立命館法学

      巻: 405・406 ページ: 529-548

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] テキストマイニングを用いた都道府県再犯防止推進計画の検討2023

    • 著者名/発表者名
      ブルースター デイビッド, 向井 智哉, 高橋 有紀, 竹中 祐二, 相良 翔, 鈴木 政広, 相澤 育郎
    • 雑誌名

      実践政策学

      巻: 8(2) ページ: 137-145

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Restorative Justiceにおける「再統合のための恥付け(Re-integrative Shaming)」による犯罪学理論の統合とその批判〔特集:離脱研究と犯罪学理論の再接合〕2022

    • 著者名/発表者名
      森久智江
    • 雑誌名

      犯罪社会学研究

      巻: 46 ページ: 16-27

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] オーストラリアの修復的司法2022

    • 著者名/発表者名
      森久智江
    • 雑誌名

      比較法研究

      巻: 83 ページ: 6-13

  • [雑誌論文] 刑の全部の執行猶予の「刑罰性」と改正刑法2022

    • 著者名/発表者名
      高橋有紀
    • 雑誌名

      一橋法学

      巻: 21(3) ページ: 135-155

    • DOI

      10.15057/78397

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 反社会的行為のあった知的障害者の対人関係構築のための認知行動療法による支援方法の導入過程における支援者への影響--施設入所支援におけるインタビュー調査2022

    • 著者名/発表者名
      山﨑康一郎・我藤諭・水藤昌彦
    • 雑誌名

      司法福祉学研究

      巻: 22 ページ: 51-70

    • 査読あり
  • [雑誌論文] オーストラリアにおける知的障がい者施策の歴史的展開--犯罪行為者への対応の制度化に至る過程の検討2022

    • 著者名/発表者名
      水藤昌彦
    • 雑誌名

      赤池一将ほか編『刑事司法と社会的援助の交錯--土井政和先生・福島至先生古稀祝賀論文集』(現代人文社)

      巻: - ページ: 273-287

  • [雑誌論文] フランスの修復的司法2022

    • 著者名/発表者名
      相澤育郎
    • 雑誌名

      比較法研究

      巻: 83 ページ: 192-198

  • [雑誌論文] 犯罪学における離脱研究の展開と論点2022

    • 著者名/発表者名
      相澤育郎
    • 雑誌名

      赤池一将ほか編『刑事司法と社会的援助の交錯--土井政和先生・福島至先生古稀祝賀論文集』(現代人文社)

      巻: - ページ: 193-208

  • [雑誌論文] フランスにおける保護観察制度改革について2022

    • 著者名/発表者名
      井上宜裕
    • 雑誌名

      赤池一将ほか編『刑事司法と社会的援助の交錯--土井政和先生・福島至先生古稀祝賀論文集』(現代人文社)

      巻: - ページ: 256-272

  • [学会発表] オーストラリアの修復的司法2022

    • 著者名/発表者名
      森久智江
    • 学会等名
      比較法学会第85回大会・ミニシンポジウムC「諸外国の修復的司法」
  • [学会発表] フランスの修復的司法2022

    • 著者名/発表者名
      相澤育郎
    • 学会等名
      比較法学会第85回大会・ミニシンポジウムC「諸外国の修復的司法」
  • [学会発表] 更生保護法改正と「再犯防止」―これからの更生保護2022

    • 著者名/発表者名
      森久智江
    • 学会等名
      日本更生保護学会第11回大会シンポジウム
  • [学会発表] A Consideration of New Scheme of Social Welfare Support for Suspects with Special Needs in the Japanese Criminal Justice System.2022

    • 著者名/発表者名
      Chie MORIHISA
    • 学会等名
      European Society of Criminology
    • 国際学会
  • [学会発表] 離脱(デジスタンス)と主体性2022

    • 著者名/発表者名
      中村悠人
    • 学会等名
      日本犯罪社会学会第49回大会・シンポジウム「エイジェンシー――離脱研究における見逃された論点――」
  • [学会発表] 近年の刑罰論・犯罪論の展開とヘーゲルの影響2022

    • 著者名/発表者名
      中村悠人
    • 学会等名
      日本法哲学会2022年度学術大会
  • [学会発表] 再犯防止推進施策における地方公共団体の役割に関する日英比較2022

    • 著者名/発表者名
      高橋有紀
    • 学会等名
      日本司法福祉学会第22回大会
  • [学会発表] イギリスの修復的司法2022

    • 著者名/発表者名
      高橋有紀
    • 学会等名
      比較法学会第85回大会
  • [学会発表] 刑事施設出所後の支援に関する用語についてのレビュー2022

    • 著者名/発表者名
      安髙真弓,相澤育郎
    • 学会等名
      日本司法福祉学会第22回全国大会

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公開日: 2024-12-25  

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