研究課題/領域番号 |
20H00059
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
尾野 嘉邦 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (70598664)
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研究分担者 |
石綿 はる美 一橋大学, 大学院法学研究科, 准教授 (10547821)
三輪 洋文 学習院大学, 法学部, 准教授 (20780258)
横山 智哉 金沢大学, 法学系, 講師 (20806153)
中村 航洋 早稲田大学, 理工学術院総合研究所(理工学研究所), その他(招聘研究員) (20817275)
松林 哲也 大阪大学, 国際公共政策研究科, 教授 (40721949)
粕谷 祐子 慶應義塾大学, 法学部(三田), 教授 (50383972)
木村 泰知 小樽商科大学, 商学部, 教授 (50400073)
河村 和徳 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (60306868)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 政治学 / 選挙 / 投票行動 / ジェンダー / 実験 / テキスト分析 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、人々のジェンダーバイアスとその政治的影響を包括的に検証し、「指導的地位」に占める者の間に大きな男女格差が生じる要因と解決策を明らかにすることである。それにより、政治や社会において男女共同参画をさらに進めるだけでなく、男女それぞれが個人として、多様な選択やキャリアの実現を可能とするための方策を考える。そのために、情報工学や法学、心理学といった異分野の研究者らと共に、議事録や選挙公報などのテキストデータを機械学習によって分析するほか、サーベイ実験などの実験的手法により因果関係の解明を目指す行動実験などを行う。当該年度においては、裁判官の性別によって人々の司法機関への信頼感がどのように変化するのかを検証した結果を学術論文として出版した。また選挙公報のテキストデータを分析し、候補者の性別によって選挙公報のトピックがどのように異なっているのか、さらには選挙制度改革前後で性差に何らかの変化が見られるのかを検証した。分析の結果、候補者らが選挙公報に掲げるトピックが男女の間で異なっており、そうした性差は、候補者中心の選挙制度が政党中心に変わってもなお継続的に見られることが明らかになった。それを踏まえて、選挙キャンペーンにおける候補者のメッセージが有権者の判断に与える影響について、候補者の性別によってどのように異なるか、そのメカニズムを検証するためのサーベイ実験をいくつか実施した。このほか、当該年度においては、国会や地方議会の議事録のテキストデータを整備する作業を行うとともに、実験刺激の検討をはじめとして実験室実験の準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サーベイ実験と収集したデータの分析作業を中心に、おおむね順調に進んでいる。新型コロナの影響により、海外で開催される学会への参加、海外研究協力者らとのミーティングなどのいくつかの活動を延期せざるを得なかったが、オンラインでのミーティングを重ねることでそれらを補うこととした。研究成果については、オンラインで開催された研究会などで発表し、参加者らから有益なフィードバックが得られた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、これまで収集したデータを分析し、それらの結果を学術論文化するとともに、海外の研究協力者らとともに新たなサーベイ実験を実施する。また、テキストデータの整備を図るとともに、議事録などのテキストデータから発言者のトーンなどを正確に測るため、既存の辞書を改善するための作業を行う。さらに、被験者を実験室に集めた実験室実験を実施するほか、国内研究者らを集めた研究会を実施することを手始めに、ポストコロナを見据えて、感染状況を見ながら、対面での研究交流を徐々に再開させる予定である。
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