研究課題/領域番号 |
20H00061
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山本 英弘 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (20431661)
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研究分担者 |
竹中 佳彦 筑波大学, 人文社会系, 教授 (80236489)
海後 宗男 筑波大学, 人文社会系, 教授 (60281317)
明石 純一 筑波大学, 人文社会系, 教授 (30400617)
関 能徳 筑波大学, 人文社会系, 助教 (40824256)
濱本 真輔 大阪大学, 大学院法学研究科, 准教授 (20625850)
久保 慶明 琉球大学, 人文社会学部, 准教授 (00619687)
柳 至 立命館大学, 法学部, 准教授 (20647341)
大倉 沙江 筑波大学, 人文社会系, 助教 (40779534)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 政治的不平等 / 政治参加 / 政治的代表 / 政策応答性 / 政策選好 / 利益団体 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、有権者の社会的属性と政治行動や政治意識との関連を探究することで、政治参加や意識に関する不平等構造を捉えることを1つの目的としている。そこで2021年度は、衆院選後の21年12月~22年1月に、個々人の政治参加や政治行動、実際の頻度、政治的態度、政策選好、社会経済的地位や社会的属性、社会活動などを把握するために有権者全般に対する質問紙調査を実施した。これと合わせて、政策選好の規定因を精緻に解析するためのサーベイ実験、さらには団体を通した利益代表性を捉えるための労働組合、農業団体、商工団体、市民団体加入者に限定した詳細な調査を行った。さらに、首相の交代に伴う政策の変化とそれに対する有権者の評価を捉えるために、一部の経費を繰り越し、22年7月の参院選後に質問紙調査を実施した。 本研究課題ではまた、有権者調査における争点関心や政策選好と、政党・政治家、官僚、利益団体といった政治アクターの政策選好と照合させることで、政治的代表性や応答性の程度、不平等度を捉えることを目指している。そのために、以下の資料収集とデータセットの作成を進めている。1)選挙公約や国会会議録などから政策形成の当事者に関する情報を収集している。2)利益団体の政策選好と各政策の帰結については、昨年度までに63団体および50の政策項目についての情報収集を行っている。3)審議会メンバーや行政事業レビューをもとに省庁から団体、企業への発注状況の情報を収集し、数量データ化を進めている。4)社会運動による政治へのはたらきかけにも着目し、新聞記事等の文書資料から社会運動イベント(集会、デモ、申し入れなど)を収集し、数量的データ化を進めている。 以上の一連のデータを用いて、日本の政治過程における参加、代表、応答の全般にかかわる不平等構造を社会・経済的不平等との関連付けながら明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定した通り、有権者に対する質問紙調査を遂行することができた。また、資料収集についても滞りなく進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
これまで行った調査や収集したデータをもとに、下記の分析を進め、得られた成果を随時、学会発表や論文投稿により公表していく。 1)これまで行ってきた有権者を対象とした複数の質問紙調査の分析を相互補完的に用いて、政治参加や政治的代表性の社会経済的地位による差異を明らかにし、これをもとに日本における政治的不平等の実態を明らかにする。 2)選挙公約や国会会議録などから議員の争点関心や政策選好に関する情報を、有権者調査から得られた争点関心や政策選好と照合させることで、政治的代表性や応答性の程度とその社会経済的地位による不平等性を捉える分析を行う。 3)利益団体の政策選好と各政策の帰結についてのテキストデータをもとに、各利益団体の政策選好および利害対立の構造を明らかにする。さらに、上記の議員の政策選好や、実際に策定された政策と照合させることで団体にとっての政策応答性の程度を明らかにする。 4)審議会メンバーや受注状況など、団体、企業の政治アクセスに関するデータをもとに、団体と政党・政治家や省庁・官僚との接触の程度を捉え、エリートへのアクセスの不平等を明らかにする。 5)社会運動イベントに関するデータをもとに、制度外の市民の声がどのように動態を示すのか、それに対して政治がどう応答したのかを明らかにする。
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