本研究では1995 年から2020 年の国勢調査の個票を用い、数百万件から数千万件の長期にわたる擬似パネルデータを作成する手法を開発し、実際に疑似パネルデータを作成する。次に、この疑似パネルデータを用いて政策評価を行う為の分析手法を開発し、様々な政策評価を実際に行う。日本で作成されてきたパネルデータは質的に不十分なものが多いため、この疑似パネルデータを用いてデータの質を向上させる手法を研究する。 クロスセクションの悉皆調査から、巨大擬似パネルデータを作成、有効に使う計量手法の開発は、パネル分析一般にとって独創的な貢献となる。国勢調査から得られた擬似パネルの情報を、既存のパネルデータの母集団代表性の検討に利用する点も有用性が高い。この疑似パネルデータを用いて、回収率の低いパネルデータの質を向上させることができれば、政策効果を実証的に検証する精度を格段に高めることが可能であると期待される。
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