研究課題
医療の行動経済学では、骨髄バンクの登録者の行動経済学的特性を同一の質問票を用いた大阪大学「好みと満足度調査」の一般の人々の特性と比較し、どのような人が骨髄バンクに登録し、さらに実際に骨髄提供依頼があった場合に提供しているかについて分析した(大竹他(2020)『行動経済学』)。主な結果は、つぎの通りである。第一に、骨髄バンクに登録する人や幹細胞を提供する人は一般の人と比べると、利他的で、時間割引率が低く、リスク許容度が高い。第二に、定期的献血者や臓器提供の意思表示者は幹細胞提供確率が高い。第三に、有給ドナー休暇や有給休暇が取りやすい環境で、幹細胞提供確率が高い。第四に、同調性が高い人は骨髄バンクに登録する可能性が高いが、幹細胞提供の依頼があった際に提供をしない傾向にある。第五に、登録者と提供者の時間割引率と現在バイアスは大阪大学サンプルと比較して低いが、現在バイアスを含む時間割引率が高い人が幹細胞を提供する確率が高い。また、新たに新型コロナウイルス感染症の予防行動を促進するナッジメッセージに関する継続パネルインターネット調査を4月から7月にかけて4回行った。教育の行動経済学では、尼崎市で過去に行われた学力と生活実態に関するデータと保健所の出生時、幼少時の健康データをマッチさせて、出生時・幼少時の影響をコントロールした上で、認知能力と非認知能力に教育が与える影響を分析する2018年度から新たに継続的に行われている学力テストを用いた分析を行った。出生体重、生まれ月が、家計の経済状況、親の年齢などをコントロールしても、認知能力、非認知能力に影響を与えていることが明らかにされた。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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行動経済学
巻: 13 ページ: 32~52
10.11167/jbef.13.32