研究課題/領域番号 |
20H00081
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
加河 茂美 九州大学, 経済学研究院, 教授 (20353534)
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研究分担者 |
小野 廣隆 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (00346826)
藤井 秀道 九州大学, 経済学研究院, 教授 (20731764)
稗貫 峻一 横浜国立大学, 先端科学高等研究院, 非常勤講師 (20791544)
後藤 美香 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (50371208)
永島 史弥 近畿大学, 経済学部, 准教授 (50845956)
馬奈木 俊介 九州大学, 工学研究院, 教授 (70372456)
近藤 康之 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80313584)
南齋 規介 国立研究開発法人国立環境研究所, 資源循環領域, 室長 (80391134)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | DEA / 生産性 / 環境効率性 / 社会公平性 / エネルギー / CO2 |
研究実績の概要 |
(1)中国の石炭火力発電所の環境効率性分析に関する研究 CO2排出削減を目的として、中国の石炭火力発電所の環境効率については多くの既存研究があるが、発電所の位置やその空間パターンについてはあまり注目されていなかった。そこで本研究では、データ包絡分析と空間自己相関分析の統合フレームワークを開発し、2002年から2011年までの中国の石炭火力発電所の環境効率の空間依存性を分析した。分析の結果は以下の通りである。(1)当該分析期間の間に、中国における発電所の全体的な環境効率は向上し、沿岸地域と内陸地域の環境効率の差が縮小した。 (2)中国の石炭火力発電所の環境効率性の間には正の空間的自己相関があり、この空間的依存度は年々増加している。(3)高い環境効率性を持つ発電所は沿岸部に空間的に集中している一方で、低効率の発電所は内陸部に集中している。これらの結果から、効果的な環境効率の改善を達成するには近隣の発電所間の協力が不可欠であり、中央政府と地方自治体は発電所間での知識と技術の波及を促進する政策を進める必要がある。 (2)エネルギーに関連する社会公平性の国際比較評価に関する研究 本研究では、数理最適化モデルを応用した5つの社会指標の統合化フレームワークを開発し、世界99カ国(26年間)のエネルギーに関連する社会公平性レベルを、0(最低値)から1(最高値)の基準化されたスコアで国ごとに相対評価した。分析の結果、日本の社会公平性スコア(2015年)は0.90で、99カ国中42位であった。日本や欧州は、再エネの普及により推進することによって社会公平性を大きく改善することが可能である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本科研プロジェクトの主要な研究手法であるDEAの中に空間的自己相関分析という枠組みを適用し、効率性の空間的波及効果を取り入れることができた。本成果は、Clean Technologies and Environmental Policy (2022 IF=4.3)というトップジャーナルにも掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本年度に提案された空間的自己相関を取り入れた環境効率性分析と多地域産業連関分析の統合を図って行く。
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